詩人:さみだれ | [投票][編集] |
知らない町と
知らない人
知らない風と
知らない音
知ることができない
知ることが怖い
誰かの言葉に
影が落ちたような
見てしまった心に
気づいた本音
何も知らなければ
一センチ足らずの心で
大人になってたのかな
知ってる町も
知ってる人も
知ってる色も
知ってる温もりも
すべて置いておけば
知らない言葉も
知らない匂いも
すべて抱き合えるような気がした
少しだけど心が膨らんだような気がしたんだよ
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満足したの?
いろんな生を見てきたね
どれも苦しかったでしょ
さみしくて悲しかったでしょ
だから羨ましいの
自分じゃない何かになりたいって思うんだよ
心にまだ隙間があるんなら
生きられるよ、きっと
満たしたいって思うことは生きていたいってことなんだから
何もかもなくしたいって思うことは
死んでいるのと同じなんだよ
今のあなたならわかるよね
だから生きるんでしょ、もう一度
大丈夫
ちゃんと待ってるよ
何年でも何十年でも何万年でも
あなたが生きられなくなるまで
ここで待ってるよ
幻想交響曲第六楽章「リフレイン」
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迫る闇から逃げて
逃げて逃げてそれでも終わらない
いっそのみ込まれたら
こんな苦しい思いしなくてすむんだろう
だけど剣を構えて
迫る闇に立ち向かえたら
きっとのみ込まれても
後悔しないですむんだろう
光が見えるかもしれないだろう
入りきらない幸せが
心から漏れて世界に満ちた
君の心と溶け合って
言葉がなくてもわかるんだ
言葉にしなくても伝わるんだ
だけどだんだん目が覚めて
二段ベッドの天井と
夕闇の青に気づかされる
泣いてしまったのは
安心したから
さみしかったから
僕のいない夢の世界に
まだ闇はうろついてるんだろう
僕のいない夢の世界に
まだ君は眠ってるんだろう
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他人なんてわからないでしょ
信じられないでしょ
なら僕が信じてきたのは
他人なんかじゃなかったのかな
他人にすらなれなかったのかな
君は
心なんて見えないもの
信じられないでしょ
なら僕が信じてきたのは
心なんかじゃなかったのかな
心まで無かったのかな
君は
言葉なんて生きてないでしょ
信じられないでしょ
なら僕が信じてきたのは
言葉なんかじゃなかったのかな
言葉すら疑ってしまうのかな
僕は
他人なんて
心なんて
言葉なんて
疑うということは
信じることができるから
なら僕が信じてきたのは
疑うことをしたくなかったからかな
信じることもまともにできてなかったのかな
君も
僕も
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ビキニがよく似合う
なんて鼻の下伸ばして
じろじろ見ないでよって
ストローで突いてくる
とにかく南に行こう
なんて適当なこと言って
ナビもついてないオンボロで
帰れなくなっちゃうよ
おばあちゃん久しぶり
遊びに来たよ
もう十個目のスイカだよ
かき氷つくってよ
ねぇ!
オイルを忘れたからってしょげんなよ
影なら作ってやるんだぜ
ちょっとくらいならいいだろ
浮き輪だってちゃんとあるんだ
海だってちゃんとあるんだ
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カラスが鳴くから
帰らなくちゃ
君と別れるのは
少しさみしいけど
今は手を繋いで
歌を歌って帰ろう
だから楽しいんだ
君がいるときは
夕日を見られるほど
背が高くないから
大人になる頃にまた
帰りたいんだ
君の家までは
ずっと遠くて
このまま歩いていよう
帰り続けよう
おいしそうな匂いに
負けないように
歯をくいしばって
泣くのをこらえて
君と別れるのは
少しさみしいけど
今は手を繋いで
歩いていられるから
僕は嬉しいんだ
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透明人間に囲まれて
世界に一人きりになる
君も同じ気持ちだろう
世界に一人きりになる
聞こえる声はすべて幻聴
信じられないのは皆同じ
僕はいるよ
ここにいるよ
目に見えるものばかりがすべてだった
君は一人きりになって
僕は君を信じられなくなった
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ひとりぶんの雨宿り
水溜まりを避けて
紫陽花の匂いまで
僕を避けた
黒い傘は目立たない
どこにいるかもわからない
夜になれば余計に
僕は景色にすらなれない
歌うようにカエル
怒鳴るように雷
白けたままの山あい
いつ止むかもわからない
黒い傘は震える
涙を流しながら
その心は悲しい
さみしい僕だった
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魂が黄金の海原に流され
二度と帰らなくなった
心は鉛色の谷を見下ろし
砂漠の風に背を押されんとしている
コムメルシは町の方に
私は居心地が悪いのだろう
あなたはランタンを手に
天使を迎えた
誰も欲することのない骸
そのそばで夢を見ながらに
体は錆びたように動かず
赤茶色の古びた涙を流す
どれだけの幸せをもってしても
あなたを笑わせることはできないのだ、私は
愛はあるのだろうか
見違えるほどに崩れ去った心は
まだ覚えているのだろうか
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震える手で
ノックを三回
静かな町に響いた
幽霊は聞く
どちら様ですか
それは暗い満月の話で
誰も寝静まった頃の出会いで
マグカップに底はない
ずいぶん昔に抜けたらしい
何もないものを飲み干した
幽霊は楽しそうに
透明になって笑う
それは狂ったように
墓を間違えたように
凍える手で
明かりを消した
音がなくなり月は語りだす
幽霊もまた
暗がりに目立つから恥ずかしい
それは時間のない話で
誰も知らない昼の逢瀬