詩人:さみだれ | [投票][編集] |
頭の中のどこかに
君のことが住み着いて
誰より何より
君のことばかり考える
空がどこまでも
続いていると人は言う
白い雲に乗ってたら
君のとこにも行き着くの?
見えなくなっていく心は
月のように満ちるの?
手に触れることなく
飛ばされていったのは何だっけ
言葉は作ったものでも
君のことは湧いてきたものだから
なんとなくまだやれる
そうやって君のことばかり考えてる
このまま夜が更けていったって
君のことが朝みたいに
眩しいくらいに
輝いているんだよ
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大人になれば
背も高くなって
守らなきゃならないものもできるんだろうな
砂の山に立てた
真っ白の旗が
今までとこれからの分岐点になるよ
二人で浮かべた船も
二人で誇った国も
見えなくなる頃にまた戻ってくるんだろうな
大人になれば
手も大きくなって
守らなきゃならないものを離さないようにできる
大人になれば
背も高くなって
二人で見た夕日も違って見えるんだろうな
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永遠に
永遠に生きていられたら
悪いことにも慣れて
涙も流さなくなって
本当に
本当に天国があるのなら
死ぬことを覚えて
行ってみたいのにな
素敵な
素敵なことが待っているのなら
悪いことも忘れて
涙も流しきって
永遠に
永遠にいいことが続くなら
暗がりの君に
気づいてあげられない
いつも
いつも笑っていられるのは
たまに
たまに泣いたり、さみしかったり、怒ったりするから
永遠に
永遠に生きていられたら
何にも感じなくなって
誰も思えなくなって
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手の中には花びら
色づいた肌
嘘を並べ立てて
誉めたら気づいた
本音がどこにもないってこと
その喉を潰して
誇っていたって
誰かがそのうちに
周りに聞こえるように
カッコ悪いね
染み付いた季節を
真っ白に洗う
目に見えてきれいだ
本当は何がきれいなんだっけ
喜ぶ声が聞きたい
感謝されていたい
嘘が返ってきても
本音で返してやりたい
本音だって気づいてもらいたい
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誰かのために書いた
どんな綺麗な風景も
本当はなくて
誰かのために書いた
勇気づける声も
自信なさげに見えて
誰のために書いた
もてる優しさをすべて
ひとつの言葉に注いで
「ずっと」って言葉は
本当になるのかな
重荷になるのかな
わかったつもりだった
君のこともわからなくて
なんだか怖くなって
誰かのために書いた
不自然な思いやりも
居場所をなくして
悲しいふりはたくさん
美しいものもなくていい
ただ信じられるなら
誰かのために書いた
消し跡だらけの言葉も
どこか嬉しそうに笑って嬉しいな
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夜に抱かれたのは誰
星を数えてばかりいるの
ベッドで見る夢はいつも幸せとは限らない
だから朝は来るのでしょう
一人が二人にならないのは
二人が一人になりたくないのは
一人が二つになれないのは
二人が一つになりたくないのは
必ずしも幸せではないとわかっているから
月の魔法は解けている
もうとっくに解けているのでしょう
消え入る夜の面影を
名残惜しそうに見つめている
星を数えることも忘れて
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このまま眠っていれば
あらゆるものが変わってくれて
重荷を背負う必要も
いらなくなってしまうだろう
このまま眠っていれば
行きたいとこに行けるような
会いたい人に会えるような
そんな気がするんだよ
また月に会って
太陽は去って
風が肩を叩いて
海が話を聞いてくれて
夏がすべてを許して
あなたがいてくれて
変わらないでいいものも
変わってしまう
起きていようよ
やらなきゃならないことあるかな
変わる悲しみに耐えられるかな
眠れない痛みに慣れるかな
起きていようよ
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日当たりのいい庭
彼女は水を撒いている
花が顔を上げて
口を開けているようだ
彼女はいつも楽しそうに
歌を口ずさんでいる
彼女がひとつの「音楽」のように
世界はその音に魅入られた
わたし、ほんとはよくわからないの
なにがたのしいのか
どうすればよろこばれるのか
だから、ね
おしえてほしいの
しあわせならしあわせだって
いってほしいの
彼女はいつまでだって水を撒いた
気が遠くなるほど長い月日
もう自分の名前だって忘れただろうに
彼女はずっと愛し続けた
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混じりけのない
水溜まりのように
避けられたり
踏みつけられたり
掬うことも忘れられ
だんだん渇いていくんだろ
今は青いペンキで
空を塗り潰してあるけど
知らないうちに誰かが
白をこぼしているけど
いつか嫌になって
焼いて真っ黒にしてしまうんだろ
何もかも元通り
ってわけにはいかない
壊れなかったり
直らなかったり
流した血の色も
焼けたアスファルトも
気にしてないうちに
どことなく変わっていくんだろ
気づいたときに変わっていたんだろ
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川の向こうに
君がいるような
錯覚を信じてみた
海のそばに
君がいるような
予感を探ってみた
町の中に
君がいるような
運命を感じてみた
心は風に吹かれて
飛んではいかないし
海に流されて
溺れることはないし
けれど心は
空のように色を変える
ただ形を変えずに
目の前に
君がいるような
そんな希望を確かめた