詩人:さみだれ | [投票][編集] |
光景は時として視界を塞ぎ
やがて訪れる雷雲を
風に撫でられながら知る
行き先を告げず飛び出し
その時開け放した扉を
今さらながら心配する
太陽は海を伝い現れた
誰もがその光景に気付かず
息をしながら眠っていた
しかし今!
朝の静けさに言い知れぬものを悟り
少女は男のそばで目を覚ます
なぜ在るのか
この上ない寂しさを少女が身に纏ったとき
光景は光のもとに移り変わり
優しく太陽が風が少女を撫でるのであった
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世界は愛に溢れている
そうあなたは知っている
雲が隠れるほどの涙を
どうか流さないで
いつでもあなたの耳に
楽しいことや素敵なことを
世界は愛に溢れている
苦しくはないよ
イヤホンも夜の闇も
ぬかるんだ泥も
それらを捨ててこその
僕とあなたなのだから
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夜がない幸せを
ずっと欲しがった
朝なんて来なくていいと
ずっと呪っていた
見なくていいものを見ることが
一番苦しくて
見たいのに見られないことが
怖くさせる
心は暗くならず
むしろ明るく照らされる
そこにあるものが嫌で
逃げ道を探す
誰かのために夜があるなら
誰かのために昼がある
だからどちらかを捨てて
生きることができる
でもどちらも知らぬ間に
手に入れてしまうものだから
今悩んでいる
思い出したくはないんだよ
だから昼をくたくたになるまで生きて
夜死んだように眠りたい
こんな詩を書くことも
夜のせいにして
叩きつけたいんだよ
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前の馬車が遠すぎて
いつまでたっても追いつけない
君が振り向くことはない
僕が振り向くことも
世界がこんな風に回るから
会えないんだとしたら
世界が回るより速く
君に追いつけばいい
なのにずっと追いつけなくて
夢でも見ているような
遠い幻影
安くないチケットで
世界は回り続けてる
止める人はもういない
君が振り向くこともない
それはたぶんいいことなんだろう
だから僕は振り向かず
追いつこうと走ってる
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することがない
そう言って天井ばかり見る
あなたの生活は見た目にはとても退屈そう
でも心の中では
渦を巻くようにのみ込まれ
砂の山にさらに砂をかけ
とても苦しそうなのです
誰も知らないあなた
あなたは救いを求めてくる
本当のことを言わない
それでどうして救えるのだろうか
頭の中では
楽しいことを夢想し
でも心の中では
羽が生えることばかり願うのでしょう
人間であることを
生きていることですら愚かだとする
なにものも、生きていない、ということを
知らないというのに
あなたは眠りにつく
夢の中では
たくさんのものや
たくさんのことが待っているのです
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虹はどこにあるんだろう
あの夢の女の子はどこだろう
心はどこにあるんだろう
そして胸が痛むのはなぜだろう
あなたを思うこと
心はどんな形だろう
雨を吸ったシャツ
あたたかいお風呂
そしてまた夢を見るんだろう
虹はまぼろし
昨日の雨が今日になってうれしくなった
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カウチに腰を沈め
来るはずのない客を待っていた
それは黄金のステッキを持ち
白い羽に憧れた同志だ
今となっては喋ることもままならない
痛ましい姿
救いを求めるのであれば
救わなくてはならない
まだ無垢で美しいその手では
できることなど少ない
心の中なら何とでもなるさ
そうもならない現実に生きているのだろう
積み重なった感情が
私をカウチに縛りつける
消えてくれない暖炉の火
安心して眠ることもできない
今、ノックが聞こえた
そんな夢を見たのだろう
白い羽が見えたような
たぶん、もう私は眠っている
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窓ガラスにすがりつくカーテン
外に出たいと泣きじゃくってる
パタパタするのが嫌なのか
君はカーテンを外してしまった
"風と恋人だったんだ"
そう言おうとしたけど言えなかった
小さい頃にカーテンに包まって
窓の外を見ていた
たぶんそのときの僕とカーテンは
同じ気持ちだったんだと思う
風が入るのが嫌なのか
君は窓を閉めてしまった
"たまには換気しようよ"
そう言ってまた窓を開けた
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マリンブルーの髪の毛に
紫の煙が染みてくる
馬車に乗れない王子様の
苛々した貧乏ゆすり
そう
なんだって許せるわけじゃない
だからこそ許せるところを愛しているの
風のない町の時計塔
青い空にもやる気は感じられず
時間がないと焦る者
時間が感じられないから
そうやって歳を取って
いくつになったかも知らないまま
生きられたらいいのに
バビロンが見えたとき
僕らはまだ知らなかった
あれが人柱だってことも
神様に会うためだってことも
そう
それだっていつかは壊れて
悲しみに浸る
だからこそあり続けるために
頑丈に作る
ほどけないように
壊れないように
忘れないように
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好きなのに別れる
その意味がわからない
好きなのに忘れる
その理屈がわからない
好きだって気持ちにあれやこれやと
くだらないものくっつけて
それで泣いたり笑ったり
どんな仕組みになってるの
好きなら好きでいいでしょう
それ以上に何がほしいの
愛してるなら愛せばいいでしょう
そんなことで何を躊躇うの
相手を思う自分が好きなの
愛してるの言葉も嘘なの
相手を信じられないで
相手を思うなんてあり得るの
わからない