| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
窓ガラスにすがりつくカーテン
外に出たいと泣きじゃくってる
パタパタするのが嫌なのか
君はカーテンを外してしまった
"風と恋人だったんだ"
そう言おうとしたけど言えなかった
小さい頃にカーテンに包まって
窓の外を見ていた
たぶんそのときの僕とカーテンは
同じ気持ちだったんだと思う
風が入るのが嫌なのか
君は窓を閉めてしまった
"たまには換気しようよ"
そう言ってまた窓を開けた
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マリンブルーの髪の毛に
紫の煙が染みてくる
馬車に乗れない王子様の
苛々した貧乏ゆすり
そう
なんだって許せるわけじゃない
だからこそ許せるところを愛しているの
風のない町の時計塔
青い空にもやる気は感じられず
時間がないと焦る者
時間が感じられないから
そうやって歳を取って
いくつになったかも知らないまま
生きられたらいいのに
バビロンが見えたとき
僕らはまだ知らなかった
あれが人柱だってことも
神様に会うためだってことも
そう
それだっていつかは壊れて
悲しみに浸る
だからこそあり続けるために
頑丈に作る
ほどけないように
壊れないように
忘れないように
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好きなのに別れる
その意味がわからない
好きなのに忘れる
その理屈がわからない
好きだって気持ちにあれやこれやと
くだらないものくっつけて
それで泣いたり笑ったり
どんな仕組みになってるの
好きなら好きでいいでしょう
それ以上に何がほしいの
愛してるなら愛せばいいでしょう
そんなことで何を躊躇うの
相手を思う自分が好きなの
愛してるの言葉も嘘なの
相手を信じられないで
相手を思うなんてあり得るの
わからない
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窓辺に佇む
あなたは月を眺めて
いつも楽しそうな横顔を
少し曇らせていた
まるでこれから世界が終わるかのように
静かに月を眺めて
何を思ってそこにいるんだろう
誰を思ってそこにいるんだろう
ツキがないと嘆く
あなたは遠い目をして
これから朝が来ることも
忘れてしまったのかな
まるで世界にひとりだけになったように
どこか遠い目をして
さみしさを紛らすように
話しかけてくるけど
あなたの言葉はいつからか
聞き取れないほど小さくなって
応えられないときにはもう
いなくなってしまった
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優しさのない
この心は誰のために
役に立たない
この身は何のために
怒らせて
傷つけて
殺した
この心はどうしてあるの?
この身はいつまであるの?
君は嫌いだっただろう
優しさのない、この心
君は好きじゃなかった
鋭く尖った、この手
逃げても
突き放しても
殺されても
この心はあり続けるのかな
生きている意味がわからない人を叱りつける
本当は死にたい僕の心が
死ぬことを論じた
優しさのない、この心は
生きていることを素晴らしいと言った
役に立たない、この身は
本当は死にたがってる
いつだって死にたがってる
この心は
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夢の中では伝わらないこと
現実には感じられないこと
幻にあって、実体にないもの
人はいつだって一方を見落とす
だからこそ一方を真剣に愛する
瞬きすればわかる
過去が未来になったこと
声を出せばわかる
自分も他人もそこにいること
でも何もなければ
何も変わらなければ
息をしてることが
奇跡のように思えてしまう
そばにいなければ感じられないこと
遠くにいなければ信じ合えないこと
君にだって、できることはあるだろう
人はそうやって世界を覚えて
何かがあればこそ真剣に向き合える
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幸せって
きっと人が何かを思えることなんだろうな
価値って
きっと一人じゃないとわかったときに確かなんだろうな
たぶんそれは自分だけの答えで
他人のマスには入らないだろうな
騙すことも傷つけることも
覚えたことに後悔はない
さみしい気持ちも悲しい涙も
感じたことはラッキーだった
たぶんそれは自分だけの思いで
他人の思いはもっと別な感じなんだろう
優しさって
誰かがいて初めて役に立つものだろう
喜びって
誰かがいなきゃつまらないものになるだろう
つらいって
人が何かを思いすぎたことだろう
幸せって
人が何かを思えることだろう
そう怖くない
怖くなんかないよ
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手をとることも忘れて
かみ合わない話をして
それでもひとつの傘で
二人は歩いてる
いくつ年を取っても
話をすることもなくなっても
それでもひとつの傘で
二人は歩いてる
どっちの肩も濡れないように
身を寄せて歩いてる
行き先は二人でひとつ
時間がかかっても歩いてる
安いビニール傘だって
いかしたブーツだって
スーパーの買い物袋だって
全部ひとつで
二人は歩いてる
どっちの肩も濡れないように
二人は身を寄せて
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思わぬところに現れた
ブラックホールに吸い込まれ
電波で届く君の声も
パタンと途切れてしまった
明くる日ベッドはもぬけの殻で
ガスが部屋を満たしてる
光が届いた君の光が
ほこりまみれの白い光が
言わずと知れた超巨星
自分の力を抑えられず
消えてしまう消えてしまうよ
光もなく音もなく
はしたない君の衛星
軌道はすでに決めてある
目指すはハロー
バルジでは会えないわ
そんな言伝ての光が届いた
それから何億年経ってんだろう
何万年ならまだ安心する
何年なら茶でも飲んでから
行くとするよ
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思うことでなんだか嬉しくなる
だからいつだって近くにいるようで
目を閉じても触れられる
ぬくもりだってちゃんとある
だからどこにいたってそばにいるようで
さみしくもないんだ
何でもないことでなんだか照れたりする
だから何をしていたってドキドキして
浮いたような気持ちになる
声だってちゃんと聞こえてる
だからいつだって近くにいるようで
信じられるんだ
思うことでなんだか嬉しくなる
だから今だって近くにいるようで
目を閉じても触れられる
手を繋いで笑いあって
約束をして眠りにつく
どんなときだってそばにいるようで
だからいつだってさみしくもなくて
信じられるんだ