詩人:さみだれ | [投票][編集] |
夢を見る
つまらない世界
あなたなら
何と呼ぶだろう
ソファに座り
夢を見る
羽が生えることも
法が変わることもない
楽しいのは
心だけ
苦しいともがくのは
心も同じ
夢を見る
くだらない関係
あなたなら
何と呼ぶだろう
服を着ることを覚えて
背筋を伸ばすようになって
心は窮屈になる
誰も見えていないのに
夢を見る
まとまりのないそれ
あなたとなら
意味をもつだろう
心は見る
知られないのをいいことに
真実も虚構も
ごちゃ混ぜにして
心は知る
思想や感情の類い
夢を見る
つまらない世界
あなたとは
見られないもの
あなたとなら
感じあえるもの
生えたばかりの羽を
まだ舐めているんだろう
夢の中で
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
錆びた鉄のぎこちない音
沈む日の紫
ロケットは飛んでいき
スコップは地上に残った
遠くには外灯と
大小二つの影
錆びた鉄の冷たい感触
沈む日の世界
カレーの匂いと
カラスの鳴き声
雲の上にのぼった時間も
思いでになってしまった
錆びた鉄のつんとした匂い
沈む日の反対側
帰らなくちゃ
はやく、帰らなくちゃ
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なぁ世界は美しいか
そこから見える景色は素晴らしいか
抱えてる不安吹っ飛ぶくらい
ドキドキしてるか
相変わらず死にすがり付いて
かっこわるい詩ばっか書いてるけど
相変わらずお前のことばっか考えて
ぼんやり生きてるけど
そこから見える世界がさ
お前にとって眩しいくらい
手に取るのももったいないくらい
綺麗なもんだったら
なんとなくそれで満足なんだよ
いてくれたら本当は嬉しいけど
たぶん一生忘れないよ
死ぬ間際まで忘れないよ
あの約束はそういうことだって思う
ずっと一緒にいるってそういうことだと思う
詩書くよ
お前のことももっとたくさん書くよ
また夢で会えることがあったら
今度はこっちから言うよ
言いたいこと本当はたくさんあるけど
よかった
世界は美しい
素晴らしい
ドキドキして
嬉しい
よかった
なんとなくよかった
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羊の夜に満月が
あまりに綺麗だったので
思わず窓を開けて
しばらく見入っていたのです
いつもは母が眠るまで
トントントントンしてくれるので
今日はなんだか大人になった
そんな不思議な気分です
いじわる女王が出てくる話
好きなんだけど今日はお預け
だって大人だもん
少しくらい夜更かししてもいいでしょ
羊ばかりの夜に満月
あまりに綺麗だったので
眠たい目をゴシゴシして
うさぎを見ようと頑張りました
けれどもうさぎは出てこない
羊はこんなにたくさんいるのに
なんだか枕が恋しくなって
僕は窓を閉めました
そしていつのまにか眠りました
おやすみなさい
また明日
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人間は嫌いだ
心が伝わらないから
伝わったとしても傷つくから
人間は愛することを覚えるし
すぐに死のうとするし
それを詩にしたり音楽にしたり
正しいも正しくないもわからない
信じることでしか確かだと感じられない
草木の生えない道を作り
勝手に地図を書きかえて
それで得たものは絞首台
人しか生きていない
人間は嫌いだ
愛することも
心が伝わらないから
わかっちゃくれない
死ぬことを忘れていれば
生きていることも忘れ
美しいものを見逃し
汚いものに触れなければならない
生きていることも嫌いだ
目に見えるものすべて
道化のように思えてしまう
作り笑いで誘い
心はナイフのように懐に忍ばせて
それが知能だっていうなら
動物として生きたい
それが無能だっていうなら
神様になってやる
それが全能だっていうなら
何もかも変えてしまいたい
複雑なものすべて
何もかも真っ直ぐにしたい
心から向き合えるような
存在を作りたい
それでも人間だ
愛することもするし
死ぬことだってある
心が傷つくこともあれば
信じて疑わないこともある
人間なんだよ
俺は人間なんだよ
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いつか死ぬことがあったとき
誰かは生きているんだろう
愛し合うことや日々の生活に
心満たされて生きているんだろう
いつか僕が死んだとき
君はどうしているんだろう
知らない誰かと愛し合って
日々の生活に忙しくて
でも君の隣にも死はいるんだよ
生と仲良く手を繋いで
いつか君が死んだとき
僕はどうしているんだろう
話したいことを話せずに
思いやることもできずに
そんな悲しい話は
たぶん聞きたくないだろう
君は嫌いなんだろう
それでもいつかそんなときは来るから
忘れないでほしい
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誰のためと言われたら
呟くように君のため
それも建前に聞こえたら
僕のためだと言えばいい?
ありきたりな感情も
ありふれた町の灯も
僕の目から見えたもの
僕の心に映ったもの
誰かのために生きたいと
願っていても僕の人生
君を悲しませないようにと
綴っていても僕の世界
それでも君のため
僕のためであり
君のためである
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出会ったことが全てだった
恥じらいも躊躇いもなく
そう言えるのは今日の天気がとてもいいから
また明日になっても忘れないよう
僕は詩を書くよ
また年をとっても忘れないよう
僕は詩を書くよ
そう出会ったことが全てだった
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君は風になって
どこか遠くの町へいくんだろう
僕には膨らんだシャツが
まるで"胸がはち切れる思い"に見えて
たぶん君を思ってるんだろう
摘まみきれないでっかい雲を
押しながら君は歩いてく
一メートルもない僕の手は
そんな君を捕まえられない
ぼんやりしてんだよ
まるで夢でも見てるみたいにさ
大事なものを手放すのは
いつだって一度は躊躇ってしまう
どうでもいいものを見つめるのは
時間の無駄ってわけじゃないだろう
だから君は風になって
どこか遠くの町へいくんだろう
だから僕には頬を撫でる
その風が君のように思えて
何も言えずに手を振ったんだろう
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孤独の檻で
冷たいコンクリートに頬をあてる
夢なら覚めてよ
誰もいない虚空に響く
君は閉じ込められてるの?
自ら閉じ籠ったの?
心が他人のように接してくる
すべてを忘れたくて望んだ孤独なら
何にも忘れられないよ
誰かに気づいてほしくて望んだ孤独なら
さっさと出ておいでよ
まずい飯を一人で食うより
まずいと言い合える人がほしい
一人ではわからないことをひたすら考えるより
わかり合える人がほしい
檻の中でわんわん泣くより
誰かに慰めてほしい
檻の中で楽しめることなんて
誰かとのそれに比べたら
ちっぽけなものだろう
鍵は渡したよ
あとは君の手だよ