詩人:さみだれ | [投票][編集] |
見つめたら止まったよ
夜の音も止んだよ
風も流星も
全部、全部
今なら誰にも聞かれずに
思いのすべてを話せるよ
君の目を見て
今日だって飽きもせず
世界は回ってる
酔わないくらいに遅く
気づかないほどに静かに
今なら誰かに自慢できる
君の素晴らしさを話せるよ
君のいないとこで
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
夕暮れの影法師
全部拾っていくんだろう
哀愁の湿っぽい匂いも
鞄についた鈴の音も
暗色の草花も
引きずってまで持って帰る
誰のものでもないから
いつまで眉間に皺を寄せているんだろう
美しい絵画も眩しいだけで
あなたの目には残らないからか
ノスタルジーに
心を奪われたからか
この世界は特別だ
何もかもが見えなくなる
そうやって落としたものにも気づけずに
影法師のことも忘れている
追憶に囚われて
歩みをやめてしまわぬよう
夜は影法師を追い出した
夕暮れの衝動
がむしゃらに生きてみよう
そう誰かが背を押した
思わず一歩前に出て
振り向けば影法師は去っていた
そこに新しい景色を残して
新しい記憶を残して
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
月が見守る夜のこと
平たい大地に二人だけ
あなたと私を連れていって
冷たい涙を拭く指を
持っているのはあなただけ
音符の実のなる木の下で
静かに絵本を読んでいたい
譜線の引かれた砂浜で
海の音を聴いていたい
もしも月に行けたなら
あなたはウサギになるのかな
悲しいけれどそれでもいい
だって私はカメになるから
平たい大地に二人だけ
あなたと私を引き合わせ
ピアノの音に誘われて
二人の夢を見させてよ
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
私はあなたを呪ったわ
あなたは永遠に苦しむの!
そんなあなたに私は
手を差しのべてあげる
取るしかないでしょう?
だからどうか私のそばにいて!
私は魔法使いなんかじゃない…
まして呪いの作法もしらない
あなたは毎日すれ違うだけ
肩を擦ることも
声を掛け合うこともない
この世にあるすべての魔術書
そこに書いてることは偽り?
知っているなら教えてよ
あなたを虜にする魔法
あなたのそばにいる呪い
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
なぜ孤独ばかりが
こうも目立とうとするのだろう
センターに立って
笑いもせずに肩を抱き合って
いつまで主役でいるつもりか
お前の出番は終わったんだ
もうとっくに終わってるんだ
ワルツを踊るとき
あなたはとても輝いていた
それは照明のせいでも
音楽のせいでもなく
まるでこの時が
ひとつの物語のように
僕には見えたんだ
歓声に頬を湿らせ
舞台は幕を下ろした
袖ではあらゆる共演者が
互いに労っている
ただ孤独だけが
誰にも見えていないように
最初からいなかったかのように
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
恋の歌を聞こうよ
二人でひとつのイヤホンで
夜の憂鬱吹っ飛んでくよ
幸せなんだって
君が笑ってくれるなら
いつまでだってそばにいる
二人でひとつのテーブルで
楽しいことを話そうよ
嬉しいんだって
君が笑ってくれるなら
いつまでだって話してるよ
二人でひとつの窓で
星を眺めていようよ
きれいだって
君が笑ってくれるなら
いつまでだって星は出る
恋の詩を読もうよ
二人でひとつの携帯で
一人のさみしさ吹っ飛んでくよ
幸せなんだって
君が笑ってくれるなら
いつまでだって書いていく
君が笑ってくれるなら
いつまでだってそばにいる
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
吸っちゃうよ?
いいの?
ほんとに吸っちゃうよ?
痛いかもよ?
萎んじゃうよ?
え?いいの?
ほんとに?
後悔しない?
あとからやめてって言うの無しだからね?
吸っちゃうよ?
ねぇ、吸っちゃうよ?
ほんとにいいの?
真面目に聞いてるんだよ?
ヘナヘナになるんだよ?
どうこうしたって治らないよ?
どうなの?
いいの?
本気だからね?
いい?
吸うよ?
ねぇ、大丈夫?
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
夏はかき氷食べてさ
冬はケーキを食べよう
春は桜を見てさ
秋は紅葉を見よう
若いうちはデートもしてさ
年老いても変わらずに
朝は二人でトーストかじって
夜は夢を語り合おう
男の子なら僕の名前からとって
女の子なら君の名前からとろう
さみしいときは並んで
悲しいときは抱き合おう
嬉しいときは手をとりあって
怒ったときは背中合わせ
そんな二人を妬んだり
悪く言う者もいるだろう
それでも平然装って
変わらないまま生きていこう
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
君が僕を好きだってことはまずあり得ないだろうから
僕は君が好きだってことを隠し続けるよ
僕は君に
君が好きな僕を好きになってもらいたくはない
それをひっくるめた僕のすべてを好きになってほしいんだ
だから僕は
僕を好きじゃない君も含めて
君が好きなんだよ
本当は怖いだけなんだよ
君と結ばれないことが
君が僕を好きではないという事実が
ただただ怖いだけなんだよ
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
客観を欠いたときから
生まれてしまった身勝手
嘲笑うようになって
ようやく気付いた
それは楽しいこと
ときに苦しいこと
他人なんか目に入れられない
だから適度に触れるだけ
醜い独り言は
誰にも聞こえないようにしてる?
拙い暴言は
自分にぶつかったかな
主観を欠いたときには
また世界がパタンと裏返る
生まれてしまった気遣い
嘲笑うこともできないって
今気付いた
それは滑稽に見えて
自分にしかわからないこと
他人を目に入れても痛くない
だから深くのめり込む
知らないことと知ったふりをしたこと
どちらもたいして変わらない
僕の視界しか
心しか
持っていないんだもの