詩人:さみだれ | [投票][編集] |
素晴らしい景色が
素晴らしい日々が
素晴らしい関係が
素晴らしい過去が
素晴らしい言葉が
素晴らしい体が
素晴らしい心が
素晴らしい表情が
素晴らしい世界となって
美しいと仰ったのでしょう
傷は深く
目は薄く
手足はやせこけ
君は遠く
甘ったるい砂糖の渦に
スプーンまでも溶けていく
素晴らしい恋が
素晴らしい友情が
素晴らしい愛が
素晴らしい信頼が
素晴らしい夢が
素晴らしい世界となって
美しいと仰ったのでしょう
汚らわしいと吐いたのでしょう
君を見た僕は
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他人の心を知ろうともせず
自分の心を押しつけた
おもしろいくらいに無頓着
それじゃ他人がかわいそう
そんな他人もまた自分で
心を誰かに押しつけて
一体君はどれ程の時間
他人を理解せんとした
他人に愛されたいのなら
自分を捨てる覚悟をしろ
かくいう私もエゴイスト
そんな世界を楽しんでる
おもしろいくらいに無頓着
他人の心に触れたふり
一体君はどれ程の時間
自分を理解せんとした
自分が愛したいのなら
他人を捨てる覚悟をしろ
重い、重い話のあとに
私はほろりと涙を流した
おもしろいくらいに無頓着
自分のためか、他人のためか
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僕は窓を閉めてたから
君の背を見られなかった
風がふわりと触る髪に
僕の手は遠かった
いくつの星座を見つけたら
君は入ってくるのだろう
暗がりに溶けていった
天の川を探しているの?
僕は窓を閉めてたから
君の背を見られなかった
僕が窓を開けてたなら
君のとなりにいられたかな
夜はいくつになっても
暗くて怖いけれど
星は年をとるたび
ひとつ、ひとつと消えるけれど
君がいつか堪えられなくなって
いなくなってしまっても
僕はいつもそこにいるよ
君がさみしくないように
君がかなしくないように
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作り慣れた山に
指で名前を
僕の国だ
君に威張った
君は木の枝で
砂浜に名前を
私の国
僕に誇らしげに
最後の風が
びゅっと吹いて
僕らの名前を
波はさらった
海でひとつに
なれたのかなって
僕らは手を繋いで
君が呟いた
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これは夢の中
眠ってるんだよ
楽しかったことを
反芻しているんだよ
明日のことを忘れてはいないよ
長い詩も書く気にはなれないよ
素晴らしい世界も
今は遠いところ
宇宙のように
漂いながら
星のように
生きたいと願いながら
おやすみとおはようが
同じ座標にあったなら
君がいるということなんだ
誰かがいるということなんだ
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もしこの世界に
戦争がなかったなら
平和を大切にできただろうか
もしこの世界に
悲しみがなかったなら
涙はどこへ流れただろうか
もしこの世界に
動物がいなかったなら
私たちは生きていられただろうか
もしこの世界に
勇気がなかったなら
死を望む人はどうしただろうか
もしこの世界に
ビルがなかったなら
風はもっと吹き抜けていただろうか
もしこの世界に
愛がなかったなら
君を思うことができただろうか
もしこの世界に
ヒトがいなかったなら
君を大切にできただろうか
もしこの世界に
空がなかったなら
輝くものは存在しただろうか
もしこの世界に
心がなかったなら
私たちは生きていられただろうか
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谷底でうなだれてる
小さな音で鳴いている
そこに詩をつけたなら
町の人は歌うだろうか
リリィは泣いたよ
なぜ泣いたの
それはあまりに人気のない
じめじめとした底だったから
誰か歌を歌ってあげなよ
詩なら僕がくっつけるから
リリィは泣いたよ
なぜ泣いたの
誰も触れることをしない
ひとりきりの鈴だったから
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さぁご覧遊ばせ
君が眠った夜の町を
君が眠った冬の町を
光ならそこいらに嫌というほど
嘆きながらも灯っているでしょ
いつの世も学ばなければ
君を取り巻く輩のことも
君を取り巻く鎖のことも
力の弱い者だけが
しがらみに苦しんでいるのです
飛んでいくんでしょ
君に逃げた者からも
君に受け継いだものからも
薄っぺらい脳の真ん中
やられてしまったのです
さぁ読んで!
君の定まらない形も
君の別れたあとの町も
君が恋した夕焼けも
君が謝った夜の夢も
詩ならそこいらに嫌というほど
嘆きながらも散らばってるでしょ
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ただ願っていれば
君が現れると思っていた
信じていれば
君は笑いかけてくれるんだって
でもそうじゃない
君と繋がるためには
信じるとか願うよりまず
繋がろうと
見つけようと
笑ってもらおうと
努力すること
大切なものはいつだって君で
それを守りたい
だから大事な話をしてくれないのも
僕のことを気にかけてくれないのも
死んでしまうんじゃないかってくらい辛い
もし会えたら
話してほしい
全部でなくていいから
もし会えなくても
知っててほしい
全部でなくていいから
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言葉が宿らない木に
水をあげたよ
木漏れ日に動物たちは
気持ち良さそうに
眠ったんだよ
人は言葉を摘んで
話をした
言葉が詰まっても
伝わればいいな
そよ風にゆらゆら
何でもよくなって
気が付けば
君の枕元に
言葉が寄り添ってる
ありがとうと
みんなは囁いた
明日も水をあげにいくよ
言葉は風に吹かれて
嬉しそうにどこかへ旅立った