詩人:さみだれ | [投票][得票][編集] |
ただ一人のために
私は生きていた
夢を見たいがために
眠れなくなった
ただひとつの詩のために
私は多くを捨てた
さみしい月に同情し
太陽を愛した
いずれ私は忘れる
幻を見たことを
目を覚ましたときも
記憶から抜けていく
ただひとつの答えがほしい
それが私を殺そうとも
夢を見ていない今
死んでしまいたくはない
ただ一人のために
私は生きているのだと
教えてくれていたならば
強く信じられただろう
そして私は忘れる
影を見たことを
夜に溶けたあとも
涙が止まらなかったことも
ただひとつの詩のために
私は多くを嫌った
世界を見る目も光を失い
人は誰もその目を知らず
ただ一人のために
私は生きていた
夢を忘れたばかりに
起きられなくなった