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さみだれの部屋


[237] サンゴの森
詩人:さみだれ [投票][得票][編集]

あの子が手を振っている
遠い日の夢の面影を背に
僕はどうしよう
何か言わなくてはいけない
踵を返して消える前に
何か言わなくては
だけど川があって
虫の声がうるさくて
太陽が嫌というほど近くて

蜃気楼のように
空を漂流する雲が
あの子をさらっていく
王子様でもない
不審者でもない
ただの雲が
あの子をさらっていく

だけど今
サンゴの森は祭りの時期で
どうやっても僕の声や
僕の体は思ったように進まない
そのうち月が巡って
一瞬の内に旅立つのだろう
あの子を見失って
後悔ばかりが巡るのだろう

2011/08/24 (Wed)

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