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さみだれの部屋


[244] 家族
詩人:さみだれ [投票][編集]

弟は生まれたばかりの
純粋無垢なその手を伸ばす
君は遠くへ
庭も川も国も越えたところへ
向かうのだろう

姉は夜な夜な泣いてる
階段の下で歯を食い縛り
あなたは閉じ込められてる
ように思っているけれど
大切だから開けられないんだ

母は布団の中で
おかえりと呟く
あなたは夢の中で
穏やかに暮らしてる
夕日のさす部屋で

父は毎朝ココアを
僕に差し出し家を出る
誰より長く外にいて
誰より大きなその手で
スプーンを回す

ああ、あれはたぶん
生まれてくる前の記憶
僕が生きた匂い
君の声やあなたの仕草
忘れちゃいけない
そんな気がするだけ

2011/08/28 (Sun)

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