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さみだれの部屋


[319] たがいの世界
詩人:さみだれ [投票][得票][編集]

空は青々と
世界をひとつに
ただ広すぎる
距離が遠すぎる
幻の中に
白く浮かんだ
輪郭ひとつ
手に届かない
いつでも淡いまま
影が通りすぎて
気づけば数年
目も悪くなった
君の名前を呼ぶ
それだけのことが
いつからかできなくなって
声も出にくくなった

悲しみは有限だと
信じた作者は
幸せになることを
前提に書いた
信じたい言葉を
信じられないくせに
そんなありきたりなことを
信じていた
この空は永遠ではない
世界はひとつじゃない
そこにいないもの
そこにいるもの
あなたはひとつ
広い世界のひとつ
違う空を見て
知らないものを信じる
あのときの幻は
私の作った幻
触れられるはずなどなかったんだ

2011/10/22 (Sat)

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