詩人:さみだれ | [投票][得票][編集] |
人間はみんな心に化け物を背負っている
化け物を抑えつけるだけで精一杯の毎日を送っている
人間はみんなその化け物がいつ暴れだすか恐れている
牙を向いて心が食いちぎられないように餌を与えながら
笑っているんだろう
血の涙を流しながら
黙ってそこに座っている
人間はみんな化け物の名前を知らない
たくさんの言語、文化、学問が生まれたというのに
名前で呼ぶことを恐れている
人間はみんな化け物を見たことがない
それぞれがそれぞれの好きなようにイメージすることで
化け物を恐れないように
子供の頃に見た夢の中で
化け物は何も言わず
ただ飲み込もうと
俺を取り込もうと
泣くことも忘れて逃げていた
今日、化け物に水を遣った
化け物はやはり何も言わず
昨日、化け物に目を遣った
化け物はやはり何も言わず
ただ静かに俺を飲み込んでいる
ゆっくりと
確実に