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さみだれの部屋


[421] 存在2
詩人:さみだれ [投票][編集]

ショッピングモールで友達と楽しそうに服を選ぶ
その姿を私は知らない
カフェで紅茶を飲む姿も
手を振りながら呼ぶ姿も
"世界は広いね"と
遠回しに出会えたことを喜ぶ笑顔も
そう、世界は広い
眼前にそびえる山を越えることすら
恐いくらいに

勇気なんて言葉は私には程遠い
けれどあなたはその言葉すら忘れるくらい
逞しく生きている
たった一歩を踏み出せることが
どれほど素晴らしいことかなんて
私のようなものにしかわからないのだろう
そう、あなたは素晴らしい
いつだって気丈に振る舞う
その姿が知れたならよかったのに、と


優しい家族に囲まれ
ご飯を食べたり
テレビを見たり
あたたかい布団に包まれ
話をしたり
夢を見たり
そのときどきに私がいたなら
そう、私はいない
夕暮れの終わりに涙を流すことでしか
あなたを感じられない
その交差点にも
学校にも
コンビニにも
電線の上にも
雲の端にも
星の傍にも


そう、私は、いない



2012/03/15 (Thu)

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