詩人:さみだれ | [投票][得票][編集] |
死んだ赤子を抱いた女
浅黒く痩せ細った醜い女
墓を掘っている
その辺に転がっていた石
そいつを使って
宝物を探す子供そのもの
滑稽なものだ
少し離れたところでは
男が棺をこしらえている
それもまたひどく不格好な形(なり)
汗水垂らしてこしらえている
慈悲深いお前らときたら
せっせと枯れ枝やら老いた花やらを取ってきて
鼻高々に分けている
滑稽なものだ
やがて計算高い神様が
運を与えてやろうとやってくる
代わりにこの世で最も美しいものを寄越せという
女と男とお前らは世界中くまなく探した
あるものは海の底から黄金の山を
あるものは自身の体を
あるものはこの世界だと言い
あるものは子供を差し出した
滑稽なものだ
男と女は何も持ってはいなかった
仕方なく死んだ赤子の肉体を差し出した
しかし計算高い神様は
運を与えたと言ったきり
天へ帰った
お前らは何もかもを失い
何もいいことがなく死んでいく
それは死んだ赤子そのもの
お前らが"同情"したそれがお前らだ
滑稽なものだ