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さみだれの部屋


[555] ケものと呼ばれて
詩人:さみだれ [投票][編集]

人は微笑みを覚え
私たちの前にしゃがみこみますが
私たちはといえば
そんな人にすり寄っていますが
噛みつきたいほどの憎しみと
解り合いたいという優しさが
ごちゃごちゃとして
こんな涙目になっているのです

心穏やかに寄り添えば
あなた方は愛と錯覚し
はた迷惑な誤解を起こしますが
ありもしない未来を見ては
隣り合う人を慈しみますが
それは心の不具合が起こした
警鐘にすぎません

美しいものを見てうっとりし
汚らわしいものからは目を背け
豊かなときには優しくなり
何も持たないときには邪悪になります

満たされた心とは
空きがない心
息もできないようでは
幸せとは言えません
悲しみや後悔は
立派に作用しているのです

初々しくありたいものです
年を取らずにいたいものです
暖かい日の中を
初めて歩く日のままに

私が眠る頃に
温かい手を差し出してください
それが人のすべてだと
どうか教えてください
そうすればまたいつか
あなた方と同じ形で生まれても
怖くないから


2012/08/01 (Wed)

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