お姫さまは言いました"あなたの背ほどの木になりたいそれからあなたとたくさん話をして同じ高さの空を見たい何年たっても変わらないあなたと長生きしたいの"と庭の木は静かに語ります"あなたの背ほど小さくなれば僕は早死にしたっていいあなたと同じ高さの空を少しだけでも見てみたいその少しを目に焼き付けてあなたが去ってしまったあとの生きる糧にしたいんだ"春の柔らかな風がお姫さまの髪をふわりとしかしその木の高さには届きませんでした
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