詩人:さみだれ | [投票][得票][編集] |
痩せた細い指が
月の輪郭をなぞる
その向こうにある星を
見定めるための望遠鏡か
夢との距離を測るつもりか
しかし指は すっと落ち
地面を指したまま
それっきり動かなくなった
あざといものは言う
彼の者の死は非常に残念であったと
それは世論であった
哀悼の言葉を
あらゆる人種の
あらゆる民族が口にした
丸々と太った指が
子供を殴り付ける
他人を顧みず助け合おうと言う
主体性とエゴイズムの狭間で
気持ちよさげに漂っている
彼の者の
痩せた細い指が
あなたの輪郭をなぞる
その奥で生きる心を
捉えるためのルーペか
可能性との時差を測るつもりか
しかし指は すっと落ち
もうあなたの前に上がることはなかった