詩人:さみだれ | [投票][編集] |
それは不意に押し寄せる
メランコリヤの影を縫う闇
旧支配者の衣を脱ぎ捨て
馳せ参ずる団らんの場
心を固く閉ざせばよいよ
瞼の裏にはいつだって優しい恋人が
腕を組み胸を押しあてるのだから
なんなら人を殺すよ
表現の自由のもとに!
気に入らない人間には触れず
私という人間を疎外させたときにこそ
あなたは真に人殺しとなる
「私は夜の女王となり
この地に君臨し 統治する
民は永遠に微笑み
願いは約束され成就する
誰一人こぼれることなく
幸せになれる苦しみを
星のもと誓おうではないか!」
手から不意に失われた
落日の天使がもつ羽の質感
往来の人々にはバレないだろう
今はもう気にもされない
喪失者の空虚とはなんたるか
未来に加圧されたのだ
行くことしかできない
目印に落としたパンくずが
小さなゴミになっていく
この喪失感こそが
夜の女王の課した唯一の条令であり
私が生きている間
見続けなければならない星なのだろう