名前のない恋人は世界の何者にも認知されず幽霊のように生かされ鉛となった足を引きずる名前のない恋人は主体性を失い隣り合う町の風景にヘアピンで穴を開ける連動するものも相対するものも存在しないという幻想の内に放り込まれたのだろうか名前のない恋人は生きている以上のことを感じられないのだろうか
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