三日月が胸に抱くふるさとの面影は 淡く水彩画のタッチによく似ていた私は真っ黒いジャケットを着て君の歩く道をなぞる金木犀の公園へ行きベンチに腰掛け遠い星に望んでみる帰りたい君がこんなにも痩せて背中を丸めて眠る姿が私には遠く現実味がない私の浮遊した心を 君は掬いとりこの星へ帰しているのだろう自分のことなんて気にもしないふりをして
[前頁] [さみだれの部屋] [次頁]