詩人:こじろう | [投票][編集] |
浅い呼吸を繰り返す
飲み干されたティーカップの中
君の放り捨てた意味を拾えないでいる
手を伸ばしても
Words cannot convey to you
掠めもしない
全てを無かったことにしたって
僕は立てないんだよ
透明な苦い雨が降ったって
何も隠せはしない
The light disregards for me
You know how to surface me
But go away
Far away
曖昧な輪郭[カタチ]だった
僕らが造っていたカタマリは
気が付けばもう崩壊を止められないまま
振り返っても
The world has lost sound
何も見えない
君が一人で泣いていたって
僕は分からないんだよ
それすらももう何の問題にも
ならないなんて
ねぇ
Someone deride me as a stupid
I know that all is late
So I grieve
Just grieve
開いた隙間からとめどなく溢れてくるこれは
今さら意味なんて持たないのに
ねぇ
このまま流れ続ければきっと
僕は空っぽになってしまうよ
閉じられるのは一人しかいない
君しかいないんだよ
全てを失うことになっても
君を呼ぶべきだった
まだ心の中の残響が
燻っているんだよ
The wind isn't around me
I know you never come back to me
But I think
Think of you
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とうとうここから飛べるのだ
この平和で単調で美しい世界から
外界には果たしてどれくらいの
忌まわしい悪夢が蔓延っているのか
恐ろしくもあり、楽しみでもある
カウントダウンは始まっている
私のためだけにあった世界が
私の背中を押す
ああいやだ、怖い、今更だが
『早くこっちへおいで』
外は光に溢れていた
詩人:こじろう | [投票][編集] |
夏の空は果てのないほど高く
限りなく明るい青であった。
旅人は言った。
「ここが『終わり』だ」
旅人は空を見上げた。
風が言った。
「ここには特別なものは何も無い。
どうしてここが『終わり』だと?」
風は立ち止まり、大気となった。
旅人は答えた。
「何も無くはない。
しかし、『ここ』にあるのではない」
旅人は目を細めた。
大気は言った。
「それはどこにあるのですか?」
大気はまた少しずつ動き出した。
旅人は答えた。
「それは君の中にあるよ」
旅人は息を吸った。
大気は言った。
「私の中に?それは光栄なことだ。
もう行かなければ。お元気で」
大気はまた風になった。
旅人は言った。
「お元気で」
旅人は手を振った。
風はどこかへ行ってしまった。
あとに秋の欠片を落としていった。
旅人はその欠片のそばにそっと横たわった。
自分の次の旅人と、
次の夏のことを思って目を閉じた。
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私は猫です。
ただの猫です。
あなたの猫です。
少し太った猫です。
寝てばかりの猫です。
ちくわが好きな猫です。
金茶色の毛並みの猫です。
額にM字模様のある猫です。
鳴き声がかわいくない猫です。
あなたの指をすぐに噛む猫です。
抱き上げられるのが嫌いな猫です。
ご飯の時にしか擦り寄らない猫です。
叱られるとツンと澄ましている猫です。
あなたが必死に懐かせようとする猫です。
あなたがいないと生きてはいけない猫です。
あなたのことがちくわの次に大好きな猫です。
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見ないでほしい
こんな情けのない僕など
でも見てほしい
こんなに君を好きな僕を
ああどちらも君に求めてしまう僕は
できれば君になってしまいたい
君の全てを分かっていたい
君に全てを分かってほしい
欲望は際限無く
僕を侵食する
僕の顔を映す君の瞳がほしい
僕の名を呼ぶ君の声がほしい
僕の指を滑る君の髪がほしい
僕の唇を塞ぐ君の唇がほしい
しかし一番ほしいものはやはり
『君に愛される僕』、なのです。