詩人:中村真生子 | [投票][編集] |
手押し車を押しながら
おばあさんが歩いていた。
行く手を遮る車に
気を使いながらも堂々と。
体を少し左右に
揺すりながらもと着々と。
手押し車を押しながら
おばあさんが歩いていた。
歩いてはいたけど
悠々とまるで木のように。
きっとおばあさんの足には
根が生えているのだろう。
地域(ここ)にしっかりと
根付いている丈夫な根が…。
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風が止み
雨だけが残った
秋の朝。
涙を溜めて
佇むように人のように
バラ一輪。
顔を近づけると
ふわり優しい香り。
冷たい雨が
降り続く秋の朝。
涙を超えて
ほほ笑む人のように
バラ一輪。
深まる秋の
雨の朝の贈り物。
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オーガニックコットン
アップサイクル…。
そんな素材や方法で作られた
服を選ぶ人が
増えているという。
見た目や着心地だけでなく
心や気持ちに似合う服。
目だけでなく
心も通して選んだ
体の内側から
心地よくなれる服。
きっとそんな未来をも創る服。
*アップサイクル…廃棄物を、よりレベルアップした新しいものに作りかえること。
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『幸せなら手をたたこう〜』の
歌をみんなで歌う。
「幸せなら肩たたこう〜」
のときに
そばのお年寄りの肩に
そっと手を置く。
手と肩が触れて
顔と顔が向き合って
目と目が合って
こぼれた笑顔をもらって
ふと幸せな気持ちになる。
いつも幸せは
思いがけずやってくる。
こんななんでもない
秋の昼下がりなどに…。
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お社に詣でる。
木漏れ日と
木々を揺らす
爽やかな風に
清々しい気持ちになる。
大きなものに包まれ…。
礼をし柏手を打つ
人の姿に
さらに清々しき気持ちになる。
深きものに触れ…。
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巡り
出会い
笑い
語り合い
夢見るように
時は流れ
旅は終わりぬ。
思い出と
喜びと
一抹の寂しさを
残して友と別れ
また
それぞれの場所で
いつもの
暮らしが始まる。
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海からの風と
山からの風が交わる
小高い森の中に
弥生の村あり。
木のうろのような家に住み
神や祖先を崇め
300年ほどそこで暮らす。
ところがどういうわけか
彼はそこを去り
村は森へと還っていった。
そして今
1700年の眠りから目を覚ます。
小高い村に佇めば
弧を描いて海が広がり
その先には隠岐の島。
海が大陸へと続く道であった
古人の暮らしを垣間見る。
海からの風と
山からの風が交わる
小高い森の中に
弥生の村あり。
風に混じって聞こえてくるのは
脈々と受け継がれてきた
いのちの鼓動。