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中村真生子の部屋


[118] 都合山たたら跡
詩人:中村真生子 [投票][編集]


山道を登って下り

いよいよ山に分け入る。

前日の雨が染み込んだ

ふわふわの森を歩く。

パイプを連ねた細い橋を渡り

少し行くと

木々がまばらになった場所があった。

江戸から明治にかけて

全盛を誇った奥日野のたたらの一つ

都合山(つごうやま)たたら跡。

炉の跡、砂鉄の洗い場跡、

鍛冶場跡、金屋子神社跡…。

建物があった場所は

窪地としてのみ姿をとどめ

今はそれも

コケやシダのすみかとなっている。

説明や立札がなければ

きっと気遣いに違いない。

けれど

ひっそりとした森で

往時の活気とにぎわいを感じたのは

私だけでないに違にない。



2012/05/27 (Sun)

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