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中村真生子の部屋


[121] 山の社と湖の鳥居
詩人:中村真生子 [投票][得票][編集]


山道をうねうねと車で上がり

急な石段を歩いて登る。

拝殿のガラス戸を開けると

小さな鳥居があり

その向こうは山になっている。

この神社は

山そのものがご神体なのである。

古代の人は

神様は山の上に住んでいると

考えていたという。

そして死ぬと魂は

山の上の神のもとへ行くのだと。

一方、宍道湖には

南北にある

四つの山を結ぶ線上の湖底に

石の鳥居が沈んでいると伝えられている。

その昔

地上より高いところも低いところも

神の領域だったに違いない。

それは

きっと今も変わらない。

ただ私たちが忘れているだけで。

あるいは勘違いをしているだけで。


2012/05/30 (Wed)

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