その夜確かに聴いた。山に棲むものの声を…。その夜確かに触れた。山に棲むものの体に…。灯に導かれ山に入り木立の中に佇みながら…。その声は山に響き渡り心に響き渡った。その体は山を包み心を包んだ。夏の終わりの夜の山で至福に出会う。
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