敬老の日。母へのプレゼントは「トロピカルレッド」という色の口紅。渡すと「もうなくなりそうだったので死ぬまでにもう1本買わなくてはと思っていた」と言う。使うのは出かける時くらいだがその回数も減ってきた。「80過ぎですけど〜」とお店の人と相談しながら選んだほんりピンクがかった紅い口紅を母は塗ってみながら心にも紅をさしているのだろうか。嬉しそうに顔が輝く。詰め替え式になっているので最後の1本と言わずまたプレゼントできればと願う。
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