詩人:中村真生子 | [投票][得票][編集] |
彼岸の入りで実家に行く。
今日は暖かゆえ
電気の入っていないこたつに入り
とりとめのない話を母とする。
母の母は母乳の出が悪かった。
けれど母は口をつぐんで
母乳以外は飲まなかったという。
そこで近所の同い年の子のお母さんから
お乳を飲ませてもらって育ったという。
いろいろなお母さんから
「うちの子は終わったら、来て」と言われて。
子どもたちもたくさんいて
みんなで子育てをしていた
80年も昔の話。
そして初めて聞く
母の赤ちゃんの時の話。
それから母は
「いろんなことがあったなあ」とぽつり。
あの日々から今日までを
ひとり振り返るように…。