Tさんが焼いて八等分にされたパイが配られる。テーブルの上でパイが囁く。「自らが幸せの源となりその幸せを分かち合えよ」と。心してパイを頬張るとほどよい甘さでほんのりシナモンの香りがした。Tさんはいつものように笑っている。いつものように朗らかに…。
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