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中村真生子の部屋


[6] この道はどこへ
詩人:中村真生子 [投票][編集]

吹雪いていた雪が

ぴたりと止んだ。

積もった雪の上を歩くのは

いつもより何倍も疲れるが

ありがたいことに

冷たいけれど穏やかな闇に包まれる。

暑くなってきて

コートの前を開ける。

町に入ると歩道の雪がかかれており

その上を導かれるように

そこへと向かう。

千回以上は通ったその場所へ。

初めの頃は建物をめざし

やがてそこにいる人をめざした。

今はただそこへと向かう。

すでにそこにいる自分を

体が追いかけていくように。

雪道をそこへと向かう。

膝近くまで埋もれ歩いたありし日を

懐かしく思い出しながら。

そこへと続くこの道は

それからどこへと続くのだろう。

2012/02/04 (Sat)

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