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中村真生子の部屋


[9] ポケットの卵
詩人:中村真生子 [投票][得票][編集]

フリースのポケットから

卵を取り出して

「こんなところに卵が…」とキミ。

「いつから入れていたの。

もう食べられないかも」とワタシ。

「さっき入れたんだよ」とキミ。

「なあんだ、ウケねらい?」とワタシ。

おかしいと思えたのは

食事も終わって

食器を洗っているとき。

キミの一連の行動に思いをはせ

ワタシはクスクスと一人で笑う。

そんなふうにあとから気づくのだろう。

それがかけがえのないひと時であったことに。

思い出のアルバムをめくるように

時のアルバムをめくりながら…。

暦の上ではもう春。

けれど、体に届くまではまだもう少し。

今はまだポケットの中。

一個の小さな卵のごとく…。

2012/02/05 (Sun)

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