詩人:Kuro | [投票][編集] |
ちょっとした森の奥
生い茂る雑草の中で
その赤い実は
ひっそりと
風に揺れていたんだ
あの頃
まだ小さかった僕らは
遠くに行ってしまう娘のために
それを探しに森に入ったんだ
陽の光が葉っぱに遮られて
昼間でもとても暗かった
風に葉がこすれる度
僕らは身を寄せ合った
鳥の声すら不気味に聞こえてた
いつの間にか
傷だらけになった手
それでも
がんばって…
僕らは探し続けた
やっと見つけたそれは
木々の葉っぱ遮られず
光が輪っかのように
囲んでいた
辺りを見渡すと
見慣れた道路が近くに見えて
僕らは笑いあった
本当にこんなにも近くにあったなんて知らなかったんだ
両手にたくさんの
野イチゴを抱えて
僕らはそれを
その娘にあげて帰った
笑顔で
泣きながら…
次の日その娘はいなくなった…
僕らの最初の冒険は
とても甘くて
とてもすっぱい
味をしていた