詩人:胡桃(くるみ) | [投票][編集] |
君で埋まる発信履歴
君で埋まる着信履歴
君で埋まるメールフォルダ
君で埋まるデータフォルダ
全ては君が支配している
君の携帯はきっと私が支配しているだろう
詩人:胡桃(くるみ) | [投票][編集] |
右斜め上に何があるのか
君の視線に合わせてみるけど
僕には何にも見えなくて
右斜め上に誰かいるの?
君は微笑んでそこを見ていて
僕にはやっぱり見えないよ
右斜め上で視線を交わらせてみたいけど
君はいつしか視線を外すから
いつも最後は僕が空中を見ているんだ
詩人:胡桃(くるみ) | [投票][編集] |
何もない空間
鳴り響くは一つだけ
閉じ込められた亡者の嘆き
生ある者が死者の烙印を捺され
出口のない空間を削れた爪で
カシカシと引っ掻き続ける
詩人:胡桃(くるみ) | [投票][編集] |
猫舌のあなたのために
私の全身冷やしてみたの
氷の接吻をあげる
アイスキャンディーのように私の舌を舐めて
あなたの舌で溶かしてみせて
シャリシャリに凍った私の髪を
あなたの手で優しくとかして
青白い私の裸体にそっと触れて
あなたの全身で私に体温を戻して頂戴
ほどよく溶けたら
さあ召し上がれ
詩人:胡桃(くるみ) | [投票][編集] |
短い髪を指先で触り
ため息をつく
『長い髪のが好きだ』
あなたの言葉を思い出す
もう知ってるの
あなたが長い髪の女性と浮気してること
少し前までは私の短い髪を愛おしんでくれていたから
でもいいの
あなたは帰ってくるから
美味しいシチューを作って待ってるわ
特別な肉の入った…ね
味わって食べてよね
あなたの好きな女の肉を
全部食べたら教えてあげるわ
あの女だってことを
早く帰ってこないかしら
シチュー煮込んで待ってるわ…
詩人:胡桃(くるみ) | [投票][編集] |
僕の息しか聞こえない
真夜中の部屋
窓を開けてみる
街のいびきが聞こえた
少し大きな寝息のような
いびきにしては静かなそれは
なぜだか僕を優しく包んでくれた
星を見上げ
街とともに眠ろう