詩人:胡桃(くるみ) | [投票][編集] |
消えてゆく
消えてゆく
小さな空色の破片は
音もたてずに
ただ消えてゆく
覗き込めばいつも
いつも綺麗な空色のまま
私を安らげてくれた
空色の破片
それはびぃだまより小さくて
私の声より大きな破片
消えてゆく
消えてゆくのね
ただそれを見ながら
私はただ見ていながら
見れなくなることを恐れ
ぽろぽろと、泣くだけ
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あなたにとっては
落ちていた石を拾ってみた
ただそれだけのことで
だから、そう
簡単に投げ捨てられても
覚悟、していたからいいの
ひとときの温もりを
心地よさをくれた、あなたのその、手を
さいごにもいちど、握らせて
詩人:胡桃(くるみ) | [投票][編集] |
聖なる夜に旅人は
寂れた教会へ行きました
疲れた顔の神父がひとり
祈りを捧げておりました
旅人は神父に近付くと
鋭い刃物を押し当てた
神父はすっかり怯え
涙を流して命乞い
そんな神父の腕の中
娘がひとりおりました
娘に刃物を向けたらば
少しも怯えず可愛く笑う
娘はめくらの可愛いこ
疲れた神父の可愛いこ
鋭い刃物で娘の目玉
えぐり出したる旅人は
不思議なことに旅人の
刃物は紅くならなくて
見ればめくらの可愛いこ
大きく目開きぱちくりと
可愛い声で笑っている
見える見えると喜んで
気付けば旅人は姿もなく
神父は夢かと疑った
けれど娘の声だけが
夢でないこと告げていた
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いつだって
そういつだって
君の目は遠くを見てる
いつか叶える
叶えたい夢だけを
その目に映している
気付いてよ
早く気付いて
あいつが限界なことに
君の夢のために
夢を追う君のために
朝も昼も夜も働いて
気付いてよ
ねぇ気付いてないの?
あいつはあんなに痩せたのに
君の目は夢しか映さない
綺麗な夢だけしか
その目には映らないね
穢無い夢追人よ
さようなら
僕とあいつは今を見て生きるよ
さようなら
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僕の息しか聞こえない
真夜中の部屋
窓を開けてみる
街のいびきが聞こえた
少し大きな寝息のような
いびきにしては静かなそれは
なぜだか僕を優しく包んでくれた
星を見上げ
街とともに眠ろう
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短い髪を指先で触り
ため息をつく
『長い髪のが好きだ』
あなたの言葉を思い出す
もう知ってるの
あなたが長い髪の女性と浮気してること
少し前までは私の短い髪を愛おしんでくれていたから
でもいいの
あなたは帰ってくるから
美味しいシチューを作って待ってるわ
特別な肉の入った…ね
味わって食べてよね
あなたの好きな女の肉を
全部食べたら教えてあげるわ
あの女だってことを
早く帰ってこないかしら
シチュー煮込んで待ってるわ…
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猫舌のあなたのために
私の全身冷やしてみたの
氷の接吻をあげる
アイスキャンディーのように私の舌を舐めて
あなたの舌で溶かしてみせて
シャリシャリに凍った私の髪を
あなたの手で優しくとかして
青白い私の裸体にそっと触れて
あなたの全身で私に体温を戻して頂戴
ほどよく溶けたら
さあ召し上がれ