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胡桃(くるみ)の部屋


[12] 聖夜
詩人:胡桃(くるみ) [投票][編集]

聖なる夜に旅人は
寂れた教会へ行きました

疲れた顔の神父がひとり
祈りを捧げておりました

旅人は神父に近付くと
鋭い刃物を押し当てた

神父はすっかり怯え
涙を流して命乞い

そんな神父の腕の中
娘がひとりおりました

娘に刃物を向けたらば
少しも怯えず可愛く笑う

娘はめくらの可愛いこ
疲れた神父の可愛いこ

鋭い刃物で娘の目玉
えぐり出したる旅人は

不思議なことに旅人の
刃物は紅くならなくて

見ればめくらの可愛いこ
大きく目開きぱちくりと

可愛い声で笑っている
見える見えると喜んで

気付けば旅人は姿もなく
神父は夢かと疑った

けれど娘の声だけが
夢でないこと告げていた

2007/02/27 (Tue)

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