| 詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
ひとひらの夢が翁樹から溢(こぼ)れ その手に着地する
風の香は甘く桃源の色をしていた
貴女の着物は赤く 唇に挿す紅もまた赤く
淡い光に包まれた画の中で 唯二つ 鮮明に映える
朝霞の雫 そのひとつひとつが
雑音(ぞうおん)を吸い込み 雑事から切り離す
そこには静謐が溢(あふ)れていた
初恋の人の横顔は清らかで
いついつまでも清らかで
僕はただじっと 魅入るのだ
最期の瞬間(とき)を迎える今に
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ひとひらの夢が翁樹から溢れ その手に着地する
風の香は甘く桃源の色をしていた
貴女の着物は赤く 唇に挿す紅もまた赤く
淡い光に包まれた画の中で 唯二つ 鮮明に映える
朝霞の雫 そのひとつひとつが
雑音を吸い込み 雑事から切り離す
そこには静謐が溢れていた
初恋の人の横顔は清らかで
いついつまでも清らかで
僕はただじっと 魅入るのだ
最期の瞬間を迎える今に
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夢のあとに風が一陣
始末を付けられない男たちは 無防備に
夢のさきに花が一房
女はいつも現実的で だから幻想的で
出会ったのは間違いだったのか 正解だったのか
追い求めた物は幻だったのか 現実だったのか
そこにあった物は愛だったのか 望みだったのか
誰も知る由はない
今はただ 夢の抜け殻があるだけ
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私の指があなたの手に触れる
ここはベッドの中
寝息が鼻先にかかる距離であなたは寝ている
私も微睡みの中
体を繋いだあと 二人は違う夢を見る
肩が寂しい
私の指があなたの手に触れている
あなたの手はあなたの横にある
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遠鳴りの海に風が鳴く
ヒロイックな君 術無く立ち尽くす
夜毎日毎見る残夢
悔恨の雫が胸に差す
明日に生きる雛鳥
過去に縋る老い鳥
折れた翼 飛べない庭鳥
遠鳴りの海に風が鳴く
鴎が日に映え 一声
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桃の花が ひとひら 舞い降りる
ふたひら みひら その髪に
よひら いつひら その肩に
むひら ななひら はらりと触れて
これはゆめ あなたの夢の中
花びらに あなたの笑顔が埋まる
「何か面白い事でもありましたか?」
「いいや」
たずねる私にあなたはわらう 私もわらう
「おかしな人ですね」
これはゆめ ゆめのなか あなたの夢の中
私はわらう あなたもわらう
目が覚めたとき
あなたは覚えてくれているでしょうか
あなたと笑う 私の顔を
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陳腐な芸達者
君が付けたあだ名
と言うより悪口だよね?って笑う僕に
ちゃんと褒めてるよって笑うから
まぁいいかって
思って僕は
今日も芸を披露するよ
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夜のわななきに蹄鳴る
駆る痩躯はまだ知らず
きみの名を まだ聞かず
今は凍んだ風に白を吐くのみ
とうさま かあさま あにさま
どうかあの子をお守りください
朝のいななきに安堵する
夢よ見よ
きみの名を呼べる歓びを
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歩き出す早春に光を見る
希望と共に抱いたのは果てのない夢だった
落とし込んだ影がついて来るものだとは露程も思っていなかった
漫然と歩く足跡に咲く花は無い
種を蒔き忘れたと気付いた時には最果てが目に見えていた
どこまで行っても道は続く
限りある資源を踏みつぶして舗装した道は無限で
限りなく流れる時間は寿命に押し負ける
歩き出す早春に夢を見る
夢はただの夢だった
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ただ貴女が好きだった
ただそれだけだった
気持ちを形にしなかったことを責められるなら
形のないものを見ようとしなかったその目も責めさせてほしい
待ちきれなかった貴女を責める事が出来るなら
迎えに行かなかった僕も責められるべきなのだろう
ただ貴女が好きだった
ただそれだけだった
そこに罪がある事を知るには
僕は『人』を知らなさ過ぎた