詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
昇る煙がワンルームの部屋を流れて換気口から逃げていく
生まれる煙と 出ていく煙と
その違いはどこにある
書き出す文字と 読み込む文字と
その違いは
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繊細な花がそこにある
緻密な歌が流れる街
其処此処にあふれる光は
僅かに影を残して 多くを照らす
例えばあなたが悲嘆にくれる時
その影はそっと寄り添うでしょう
例えばあなたが憤りに埋もれそうになった時に
踏み締めた足の下に生まれた小さな影法師のように
そして
笑い 泣き 怒り
そうして楽しむあなたの生が
僅かに影を残して また誰かを照らす
咲く 繊細な花
輝く それは あなた
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無造作に垂れ流される情報に脳がやられる
安易に解き放った言葉は宙を舞って忘却される
悪意のない毒が私を蝕む
右手が腐り落ちてシミになる
指先がシナプスを止め
灼ける陽に脊髄が呻き
また一つ 泥土に沈んだ
その 果て
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括弧付けて格好つけて
話す言葉は借り物だと
言われりゃ確かにそれまでだが
貸し借りもなく
生きていけりゃあ世話は無い
誰に幾ら入ったとか
誰が幾ら取られたとかが
酒の肴にならない今の時代は その代わり
誰に何をされたとか
誰が何をやらかしたとか
そんなことが世事の話で世話も無い
括弧付けてでも
話せる言葉があるだけまだマシだろうと
笑う親父に 銚子が一本 酒の夜
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沈みゆく果てに歌はない
高く飛ぶ花
舞えば夢
奥園の果てに夢はない
低く成る鳥
散れば空
松林の静寂
倶利伽羅の寂静
那由多の煌めき
悔恨の唸り
軋む悟道に幾万朽ちねど
弾む魂緒は
救世の真髄神のまほろば
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おおきなひとがやってきて ぼくをのみこんだ
まっくらになったみちのとちゅう
そこはあたたかくて やわらかくて
ちいさなひとがあらわれて ぼくにはなしかけた
ピンクいろのみちのとちゅう
そのひとは ぼくのまえにきたひとだって
そういって
ぼくのてをとって ふたりはおどった
ねぇ ここはどこ?
そんなことがだいじなこと?
ねぇ きみはだれ?
あなたはしってるはずよ
おおきなひかりがやってきて ぼくをのみこんだ そのあさに
ちいさなひとがやってきて ぼくはかみさまと ともだちになったんだ
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遥かなる人よ 私はここにいる
尊き人よ 名を呼んでおくれ
それだけで あの高き山も
遠き空も
深き海も
渡っていける
遥かなる人よ 尊き人よ
幽き命よ
灯火よ
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赤い龍の背に陽が昇る
鱗に弾かれ遍くを照らす頃
君は細く呼吸を始める
紺を纏った静寂から 黄金の朝へ 光を見出す
折々の草花が時を揃えて目覚め
木々は風に笑う
龍は西の空を悠々と渡り
後には一条の白い帯
ここは頂
遥か眼下には万の眠り
それもやがて 赤光に照らされ起きるだろう
赤い龍の笑う頃には きっと 僕の病も癒えるだろう