| 詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
閑かな夜だった
詐欺師が一人やってきて
僕のお腹を裂いてしまった
痛みに向かうトンネルは
とても長くて光も無い
四方から聞こえる低い唸りは
反響しあって頭蓋を埋める
詐欺師の姿はとうに無く
穏やかな夜は壊れてしまった
トンネルの外には朝がある
痛みに満ちた陽の光
それでも僕は
夜の中にいたかった
いたかったんだ
| 詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
雪 しんしんと
積もりて何を秘すべきか
赤紫の指先
吐きかける白
街灯の下 舞う
塵の如く
帰り待つ母
犬の遠吠え
雪 降り止まず
星 絶えて久しく
月は何も見ず
息子 帰らず
今日も帰らず