| 詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
閑かな夜だった
詐欺師が一人やってきて
僕のお腹を裂いてしまった
痛みに向かうトンネルは
とても長くて光も無い
四方から聞こえる低い唸りは
反響しあって頭蓋を埋める
詐欺師の姿はとうに無く
穏やかな夜は壊れてしまった
トンネルの外には朝がある
痛みに満ちた陽の光
それでも僕は
夜の中にいたかった
いたかったんだ
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雪 しんしんと
積もりて何を秘すべきか
赤紫の指先
吐きかける白
街灯の下 舞う
塵の如く
帰り待つ母
犬の遠吠え
雪 降り止まず
星 絶えて久しく
月は何も見ず
息子 帰らず
今日も帰らず
| 詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
さながらそれは大樹のようで
あるいはそれは昆虫の抜け落ちた羽根のようで
ぼくらはきっと 同じところをぐるぐると
ぐるぐると めぐっている
循環
水も大気も生命も
流れて消えて また生まれる
誰かの手の中で
きっとめぐらされて 生きている
根が水を吸って葉が拡散する
取り残された羽は大地に埋もれて誰かの羽になる
めぐる
それを君は何と呼ぶ
| 詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
――流転する
しじまは喧騒に
――流転する
平和ボケした連中が徴兵されていく
――流転する
騒乱は沈黙へ
――流転する
闘争は制圧された
――流転する
未来は過去を
――流転する
学ばざりしは阿呆の所業
――流転する
所詮この世は馬鹿ばかり
――流転する
私もあなたも皆馬鹿