| 詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
閑かな夜だった
詐欺師が一人やってきて
僕のお腹を裂いてしまった
痛みに向かうトンネルは
とても長くて光も無い
四方から聞こえる低い唸りは
反響しあって頭蓋を埋める
詐欺師の姿はとうに無く
穏やかな夜は壊れてしまった
トンネルの外には朝がある
痛みに満ちた陽の光
それでも僕は
夜の中にいたかった
いたかったんだ
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雪 しんしんと
積もりて何を秘すべきか
赤紫の指先
吐きかける白
街灯の下 舞う
塵の如く
帰り待つ母
犬の遠吠え
雪 降り止まず
星 絶えて久しく
月は何も見ず
息子 帰らず
今日も帰らず
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さながらそれは大樹のようで
あるいはそれは昆虫の抜け落ちた羽根のようで
ぼくらはきっと 同じところをぐるぐると
ぐるぐると めぐっている
循環
水も大気も生命も
流れて消えて また生まれる
誰かの手の中で
きっとめぐらされて 生きている
根が水を吸って葉が拡散する
取り残された羽は大地に埋もれて誰かの羽になる
めぐる
それを君は何と呼ぶ
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――流転する
しじまは喧騒に
――流転する
平和ボケした連中が徴兵されていく
――流転する
騒乱は沈黙へ
――流転する
闘争は制圧された
――流転する
未来は過去を
――流転する
学ばざりしは阿呆の所業
――流転する
所詮この世は馬鹿ばかり
――流転する
私もあなたも皆馬鹿
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窓の向こうにカラタチの枝が揺れている
葉は茶色く痩せて
ほうぼう禿げていて
「きっとあの木はもう実をつけないね」
母が何気なくこぼした声が
寂しそうで
萎んで皺が寄った手が
どうしてか 鮮烈に見えて
ふと視線を移すと
カラタチの向こうに空が広がっていた
青い 青い空が
遥か彼方へ 広がっていた
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雪が降る
風が吹く
頬を突き刺す冷たさは
耳まで赤く染め上げて
雪が降る
風が止む
雪片がふうわり
目の前を ほら
雪が止む
星が出る
あら この匂い
そうね 今日は鍋にしよう
| 詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
両足を突っ張って
凛と立ち
報われない世界を睨みつける
君が好きだった
自己犠牲を美徳にしない
そんな君が
両足で踏ん張って
背を伸ばし
押し寄せる波に抗う
姿が好きだった
どうにもならい と
嘆く声を
無視したい君は
だけど結局気になって
気がつくと
いつも走り回ってた
誰かのために
アディオス ヒーロー
もう休んでもいい
今度は君が救われる番
アディオス ヒーロー
疲れただろう?
さあ ここらで一息つこう
アディオス ヒーロー
もう休んでもいい
今度は僕が救う番
アディオス ヒーロー
疲れただろう?
今度は僕が君を救う番