詩人:月詠 | [投票][編集] |
いつから忘れた
遠い日の思い出
貴方の笑顔さえ
思い出せなくて
死は私を遠避け
さわれない空を
そっと独りで
見上げているだけ
手の平に舞った桜の花弁
赤く染まり闇に舞う(まどう)わ
愛しい貴方の為に…
貴方の可愛い笑顔
貴方の優しい声
こんなに捜しても
もう何処にも居無い
(貴方の後を追わせて下さい)
散り逝く 断片の記憶を
この花弁と重ねて
(私は安楽死を望むから)
全部私の所為だと
知っていたのに
闇に隠れている
私は弱くて…
どうしてこんなに
弱くなったのだろうか
私は結局強くは
為れなかったみたい…。
詩人:月詠 | [投票][編集] |
貴方の優しい手は
何の為にあるのだろうか
貴方の優しい声は
私の為に在るのでしょう?
貴方の背に向かう刃は幼く
砕け散る未来と共に
この手は血塗れに為ったわ
爪に入り込んだ
貴方の肉片を眺めて
これで永遠に一緒だと
女は笑ったんだ。
貴方が苦しそうにしてるのに
笑っていたんだ。
貴方を見ながら。
詩人:月詠 | [投票][編集] |
貴方の言葉なんて信じないわ
私は貴方を許せないの
「会いたい」とか「好きだよ」とか
「愛してる」なんて
嘘に決まってるわ
私は無垢なる愛を教えたいから
貴方は全てを捧げるしか無いのよ
誓いなさい
私の全てに…
+引き裂いた聖書に何を捧げるの?
甘い口付け?それとも貴方の首?
私にはそんなものでは足りないわ
貴方の全ては私のなんだから
貴方の愛してる人の屍(うつわ)を頂戴?
これなら腐敗しても愛してくれるのでしょう?
裏切り者には罰を与えなきゃね
貴方は私を愛せなかった
女だからって見下さられるのは
貴方でも許せないの
私は貴方を愛していたから
無垢なる愛と私を全て捧げていたのに
それなのに
貴方の器(からだ)は…
+許せないから苦しめてあげる
優しい言葉ももう要らないから
痛みに嘆いて悲鳴を上げて
そして最期に手を握った侭
「愛してる」と呟いて死んで?
そしたら許してあげるわ
貴方の赤く綺麗な血を全身に浴びてね。
あらもう時間なの?
そう「おやすみ」
今夜は貴方の首を抱いて
眠るとするわ
「おやすみ…
あら?もう寝てしまったの?
ねぇ、返事してよ」
+引き裂いた聖書に何を捧げるの?
私はもう決めていたのよ
そう貴方を生贄に
貴方の首に悪魔の刻印を…
そしてその主(悪魔)が笑う
――交渉成立だ。
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行き場を無くした泪が
作られた裂け目から流れてた
偽りのこの世は汚いと
作り出された笑顔で笑う
私を独り此処に遺して…
真紅の泪がポタリポトリと
水滴のように地面に堕ちて
私の躯は弱っていった
苦しいと叫べず
会いたいとすら言えずに
狂いそうになる
私を許して
裏切り者よ 貴方に罰を
そして罪の重さを知りなさい
貴方がした事は 私の中で
死刑に匹敵する事なのよ
私は貴方を許しはしない…
凍えた両手から堕ちたのは
硝子のような淡い雪
私の心はそれを見て
寂しいと呟いた侭
泪に震えてた
この悲しい真実を
受け止め切れずに
お願い神様 私を消して
凍えた両手から堕ちたのは
硝子のような淡い雪
私の泪はそれに応えて
大丈夫だと言った侭
暗い地に堕ちた
立春に降る
暖かい雨を連れて
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孤独が腐敗して
迷いながら狂う
揺さ振られた地に
思うのは清き風
私はひとつでいい
この紅き花を
抱[いだ]くには余りに
私は弱すぎる
紅き花よ どうか
私を消さないで
純粋が拘束されて
悪魔が笑う
"偽りの笑顔で
平和が作られた”と
貴方は優しくて
私を傷付ける
曝した胸の中
孤独が叫ぶから
深い孤独よ いつか
優しさに変われ
意味を無くしてでも
生きていこうと
あの時決めたのに
私はいつも・・・「 」
私はひとつがいい
この紅き花を
守るには余りに
私は脆すぎた
生きて逝く意味を
自分の存在を
貴方の優しさを
私の声を
この紅き花に宿して
心から笑おう
偽りのない
本当の心で・・・。
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時間(みらい)を忘れ
子供の頃に戻ってみると
今の私が幼く見えて
あの頃に戻りたくなった
誰ひとり起きていなくて
私だけが起きていると
私は悲しくなって
変わらない空を見上げた
あの頃と同じように輝く
月を見上げた
月光(つきあかり)に
凍えた夜は
星の導きさえ無力に見える
悴んだ両手は
何かを訴えるかの様に
其の光を欲する
其処には明日も
今日も無くて
只 私だけが
見棄てられた骸みたいに
月光に照らされていた
我(わたし)に返り
躯の異変に気付くと
私は直ぐさま
暖まっていない布団に包まった
闇の中には
月光の残像が遺る
冷えた躯に食い込む刃は
骨の髄まで火傷しそうな寒さで
睨んだ此の眸は
そっと瞼を閉じて
暖かくなるのを待った
其処には過去も
未来も無くて
只 月光だけが
見棄てられた骸みたいに
届かぬ声を叫んでいた
月光に遺された現実が
貴方に繋がりますように
貴方に届きますように
私は其れを祈って
今日も眠る。
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心臓(こころ)が割れる
軋みながら痛む
鏡に写る私を
どうしたら愛せるの
願いは途絶える
祈りは消える
鳴りっぱなしのオルゴールが
この鼓膜を破る
大好きだった事でさえ
今は耳障りで
噎せ反って嘔吐する
代えられぬ願い事を今更叶えて
何になるのか教えて欲しい
死に絶えて行くの
この侭 尽きて逝くの
私はきっと私を許さない
貴方が触れる
私は逃げる
誰にも触れられぬように
固く閉じた硝子窓
見えるのに手が届かない
硝子窓の向こうの
光が当たる場所を眺めてた
代わらぬ願い事は今は何処へ?
伝わらぬ祈りは何の為に?
神様が云うから
『どうぞ地獄(ここ)へおいで』と
微睡んだ眸で私に云った
地獄も光も本当はどちらも必要とはしていない筈だったのに
代えられぬ願い事を今更叶えて
何になるのか教えて欲しい
死に絶えて行くの
この侭 尽きて逝くの
私はきっと私を許さない
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失いたくないものから
確実に正確に失ってゆく
花が散って空に舞うのが
当然のように
その命は消えていった
時が偽りを宿して
真実に辿り着くのは
余りにも遠過ぎる
未来の果て
その時私は笑ってるのかな?
止めを刺して
楽にさせて
私は貴方を愛せない
愛する資格なんて無い
だからいっそ貴方が殺って
どうか聞いて
楽にはなれないと
貴方がそう言ったのよ
横を向いて苦笑いしていた
その日を覚えていて
凍えてしまったなら
手<こころ>を紡ぎ祈り温めて
雪が舞うのはその先の運命を
知っているから
あぁ…私は次は何を失うの
強く愛して
泣いて殺して
貴方は私を愛せない
奪い合う事でしか
何も解決出来ないのだから
それならばいっそ
楽には成らないと
一生懸命強く誓って
無数の死体が転がった地獄で
私は眺めてるから
止めを刺して
楽にさせて
私は貴方を愛せない
愛する資格なんて無い
だからいっそ貴方が殺って
貴方が私を殺めて
そして貴方も死んで下さい。
詩人:月詠 | [投票][編集] |
深く落ちた月は
私の手の平で踊り
暗黒を告げる
其処に見えるのは本物かと
私の心を抉るように
月が宿った鏡の前で
一緒に踊りましょう
此の命が尽きてしまう程に
静寂なのは
死を其の眸の奥深くに
持っているから
怯えなくていいわ
きっと是<これ>から
見るのは苦痛
其れを知っていても
私は貴方を
愛さずにはいられないの
往く先が見える?
淀んだ今に何を見るの?
貴方は其の真実を知らないわ
闇に束縛された私は
光を見ようともせずに
踊り続ける
こんなに平凡なのに
満足出来ないのは
私の心が腐ってしまったから
儚い今日を終らせる方法は
わかっているの
でも其れを
実行してしまった瞬間<とき>
貴方は私の側に
居てくるのかしら?
殺されても恨まないでね
だって貴方は
わかっているんですもの
忘れたなんて言わせないわ
是から起こる惨劇の全てを
見せてあげる
此の未来は変えさせない
変えさせないわ
だって幸せに成りたいんですもの
修羅に生きてこそ神
裸体よ踊れ美しく
どうぞ刃向かわないで
私は神様
貴方を罰する為の神様
月が宿った鏡の前で
亡骸<あなた>と踊りましょう
其の命が尽きてしまった
静寂は
死を其の眸の目の前に
見ていたから
わかっていたのでしょう?
私は神 死を司る死神様
さぁ 次は来世で会いましょう
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伸ばし過ぎた赤い爪
其処から流れたものは
如何って事の無い私の血
拭き取らないで
手当てしないで
貴方じゃこの傷を
埋められない
涙の枯れたお人形に
優しい口付けをして
愛を確かめさせて下さい
私の心の中で埋もれた
拙い優しさをどうか
そのお人形に隠して下さい
千切れた血肉を掻き集め
適当に縫い合わせるの
如何せこんなのただのお遊び
邪魔しないで
誰も呼ばないで
ずっとこの快楽を
味わっていたい
狂って笑ったお人形を
朽ちた木に吊して
自殺をさせてみました
飛び出た目玉は青いガラス玉
だらりと下がる白い手首が
とても綺麗でした
光を帯びた蒼い眸は赤くなる
血のようなガラス玉を
優しく拾い上げ
飴玉入れの中に入れました
涙の枯れたお人形に
優しい口付けをして
愛を確かめさせて下さい
私の心の中で埋もれた
拙い優しさをどうか
そのお人形に隠して下さい
私はそのお人形を強く抱きながら
深い眠りに落ちていった
深く深い奈落の底へ