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月詠の部屋


[5] こごえ月
詩人:月詠 [投票][編集]


時間(みらい)を忘れ
子供の頃に戻ってみると
今の私が幼く見えて
あの頃に戻りたくなった

誰ひとり起きていなくて
私だけが起きていると
私は悲しくなって
変わらない空を見上げた

あの頃と同じように輝く
月を見上げた

月光(つきあかり)に
凍えた夜は
星の導きさえ無力に見える
悴んだ両手は
何かを訴えるかの様に
其の光を欲する

其処には明日も
今日も無くて
只 私だけが
見棄てられた骸みたいに
月光に照らされていた


我(わたし)に返り
躯の異変に気付くと
私は直ぐさま
暖まっていない布団に包まった

闇の中には
月光の残像が遺る

冷えた躯に食い込む刃は
骨の髄まで火傷しそうな寒さで
睨んだ此の眸は
そっと瞼を閉じて
暖かくなるのを待った

其処には過去も
未来も無くて
只 月光だけが
見棄てられた骸みたいに
届かぬ声を叫んでいた

月光に遺された現実が
貴方に繋がりますように
貴方に届きますように

私は其れを祈って
今日も眠る。

2009/02/11 (Wed)

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