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やぎひとの部屋


[11] 一人娘
詩人:やぎひと [投票][得票][編集]


どうしたことかと
おじいさん

一人娘を
思っていた

自分の命は
あとすこし

のこせるものが
何もない


一人娘は
まだ
若い


ゆびわ
ドレス
ねっくれす

どれも
とても
手が出ない…




最後の夜の
そのひととき


一人娘はうつむいて
ちっとも
かおを
あげてくれない



…ふいに
調べが流れ出す


一人娘の
好きな唄

家族
みんなの
宝物


やさしい
やさしい
ゆめがたり



一人娘は微笑んだ



“よかった、よかった”と


おじいさん

少し遠い
旅に出た

2010/12/30 (Thu)

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