詩人:漣福堂 九欒 | [投票][編集] |
今、私の手の中にマグカップがある。
その中に、美しいベージュが揺れている。
あたたかでふくよかな香りが、私の心をそっと包み込んだ。
手の中に包み込んだはずのものに、私の心が包み込まれるなんて。
こくりとベージュを飲み込んで、
窓の向こう、流れる街の灯を眺めた。
あれらすべてに喜びがあり、悲しみがあり、人生がある。
彼らも心を包み込む術を持っているのだろうか。
おや、ベージュは私の物思いが嫌いらしい。
冷めてそっぽを向いてしまった。
でも、気付いているだろうか。
君がくれるそんな時間も、私が嫌いじゃないこと。