詩人:ℒisa | [投票][得票][編集] |
厳重な病室で
体中にいろんな管が通されてた
頭にも鼻にも手足や股にも
もちろんそれは心臓にも通されてて
私がベットの傍まで行くと
弟は目を開けて
管がいっぱい通ってる手を
少しだけやっと持ち上げたから
私はその手を握った
まだ赤ちゃんの頃
私が手を触ると握り返してきたそれよりも
もっと弱弱しかったけど
「ありがとう」って小さい声で
また目を閉じた
私は自分の手首の傷が許せなかった
この子がずっと
追いかけてきた夢を諦めてまで
選んだ「命」ってものを
私は身勝手に何度も捨てようとしてた
痛み止めが切れて
意識がはっきりし出すと
心臓に手を当てて
「もう嫌だ」って弟は初めて泣いた
それでも次の日には
退院した後の夢を楽しそうに
ずっと語ってた
ある日突然「芸人になったんだ」なんて言うから
笑っちゃったよ
でも初めてのライブ
まぁなかなか面白かったよ
良い先輩がいる事
演技が難しいけど練習は楽しいって事
次のライブも決まった事
「じゃあ今まで弟は力士なんだよって紹介してたけどこれからは弟は芸人なんだよって紹介出来るね」
って言ったら
「いや、まだまだだよ」
て笑った
お金持ちだとか貧乏だとか
健康だとか不健康だとか
夢が叶うとか叶わないとか
きっとそんな事で人生って
輝くか輝かないか
楽しいか楽しくないか
幸せか不幸せか
決まっちゃうものじゃない
「やりたい事をすれば楽しいよ」
そうだね
死にたいなんて思って生きていたら
本当は楽しい事も
楽しくなる訳がないもの
やりたくないなんて
思いながらやってても
いくら頑張ったって
幸せになれるわけないもの
もう負けないよ私
この人生も輝かせてみる