仕事ヘ向かう車から煙草を吸いながら細めた瞳を現場へ向けて歩く男の姿を目で追った当たり前の毎日の中の何気無い光景を何気無くやり過ごしたもしもこの体がその姿に戻ったら大声で名前を叫んで駆けよっていたかも知れない私はスーツの襟を撫でてアクセルを踏み直して過ぎた時間のことをぼんやり思った
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