ひたぶるに募る想ひ堪へ難くあられも無く喉を枯らし寒空切り裂く声あげて季節外れの情動に彷徨ふ恋猫と笑へども慎しみ欠きたるは人もまた大同小異にて君子聖人も荒馬を御するに骨折り脛に傷負はねば練達なる御者と呼ぶに些か物足らざる心地して味気なくとこそ思はるれ。恋猫と嗤はば嗤へ寒空の風身に染みる人なる我も
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