詩人:メイ | [投票][編集] |
生きているということ
それは僕らにとって
不変的で必然的なもの
であるから
眠りから覚める
なんてことも
あたりまえなことだ
でも同じ空の下
同じ大地の上なのに
この世界の一部で
やがて来る死という
未知なる恐怖と絶望に
真っ向から向き合い
残り少ない限りある
日々を知りながら
必死に生きる
何の罪もない
幼き子らは
不確定な将来に
夢を見ながら
今日の日に感謝し
明日の我が身を願う
それでも彼らは決して
『生かされてる』
のではない
『生きている』のだ
少なくても僕らよりは
彼らはそんな日々の中に
平和と自由を求め
僕らは彼らの求める
日々の中に
刺激とスリルを求める
この世は因果なものだ
だから僕は今日も
『生きよう』と思う
僕は無力だ
それ故に今日も
せめて僕は
精一杯『生きよう』と思う
僕は無力だから
詩人:メイ | [投票][編集] |
君の世界が終わる
それまでは
君のそばにいてあげたい
僕は
君のためには死ねない
たとえば
僕らがこのまま
何年も何十年も
一緒にいて
楽しいことも
たくさんあって
悲しいことも
たくさんあって
別れを思うときもあれば
幸せを感じるときもあって
いずれはどちらかが先に
人生の幕を
下ろすことになるよね
そのときは
君に先を譲るよ
寂しがり屋の君だから
君だけ残してゆくなんて
僕には出来ない
すべてを僕に
残してゆけばいい
寂しさも悲しさも全部
心配することはないさ
僕が君を守るから
だから
君のためには死ねない
君のために死ねない
君の世界が終わる
それまでは
君のそばにいてあげたい
そのかわり
僕が幕を下ろした
そのときには
君が迎えに来ておくれ
方向音痴の僕だからね
それから
『よく頑張りました』っていつもの笑顔で
僕を誉めておくれ
そしてそこからまた
仲良く手をつないで
歩んでいこう
そばにいるよ
君は僕が守る
ずっといっしょに
いつまでも
どこまでも
詩人:メイ | [投票][編集] |
この世で一番いらないもの鼓膜に根付いた優しい声
この世で一番いらないものつい振り返るあの匂い
この世で一番いらないもの細部がぼやけたあの面影
この世で一番いらないもの想えば流るるこの涙
この世で一番いらないものいつかかわした口約束
この世で一番いらないものふと甦る二人の記憶
この世で一番いらないもの絶えずに灯る恋心
そう思ってた
ずっと
だけどやっと気付いたよ
この世で一番いらないもの
そのすべてをリセット
したがるその思考だって
ピリオドの打たれた恋に
固執するのを
恥ることはないんだ
初めからない道を
無理に造り出す
ことはないんだ
誰にでもあるのだから
消えずにくすぶる恋心が
だから今は
想えばいいって
だから今は
泣けばいいって
それらすべてが
養分となり土を肥やし
君のなかの小さな芽の
根を張り幹を太らせ
枝を伸ばし葉を茂らせ
やがて実をつけるだろう
その実が赤く熟す頃には
きっと
その実の甘さに笑顔する
僕の姿がそこにある
その実の美味さに喜悦する僕の姿がそこにある
だから今は
真実の気持ち
この愛で
抱き締めていよう
やがて来る日を
待ちわびながら
詩人:メイ | [投票][編集] |
君が
あたしはテレパスだなんていうから
思わずハッとしたよ
ずっと心の奥底に
穴を掘って
埋めちゃってたけど
ホントのことをいうと
まだ君のことが大好き
別れを切り出した君に
もうとっくに
冷めていたよなんて
強がりのウソっていう泥で心を塗り固めてたけど
テレパスの君ならば
気付いていたのかもね
ごめんね
もう大丈夫
もう掘り返したりは
しないから
歩き始めた君を
引き止めたりはしないから
君は真っすぐ前を見て
その道を行けばいい
いいかい?
心のやさしい君だから
決して振り向いては
いけないよ
それくらいのこと
テレパスの君ならば
察してよ
詩人:メイ | [投票][編集] |
今僕がここにいること
今君がここにいること
奇跡と言えるような確率の偶然に見えて
案外目に見えた
必然だったんだよ
それは僕が以前にも
どこかで会ったことが
あるような気がするから
君ではない君にね
こんなことを言えば
バカにされるだけ
だろうけど
どこかできっと
出会ってるんだよ
僕ではない僕がね
もしもいつか
ふたりが冷めてしまって
離ればなれになっても
その先のいつかまた
どこかでふたりは出会い
恋に落ちるんだ
君ではない君と
僕ではない僕が
そんな風に時代は廻り
そんな風に僕らは廻る
繰り返し繰り返す
君は僕の運命の人で
僕は君の運命の人
君がいるから僕がいて
僕がいるから君がいる
『運ぶ命の人』だから
僕の肩に頭をもたれて
寝息をたててる君
そんなある日の昼下がり
そんなことを考えながら
思うんだ
今の僕は幸せだってね
これからもよろしく
この先もいつまでも
よろしくね
大好きな君たちへ
詩人:メイ | [投票][編集] |
例えば君が
世界征服を企む悪者に
捕らわれたとして
僕が有能な人材で
悪の手先になれば
君が救われるとしたら
僕は正義の旗を振りかざしヒーローになって
君を救うなんてよりは
迷わず
悪の手先になるだろう
そうすればきっと
君がまた悪者に
狙われる心配はないから
そうしなければ
君はまた悪者の
人質として狙われるから
そして
君のことを想いながら
悪を討つ正義のヒーローと戦うんだよ
でも
きっと君は
正義のヒーローを
応援するんだろうね
だけど僕は
それでいいんだ
君がそれで救われるなら
君がそれで守られるなら
君がそれで幸せなら
いつだってこの身を
捧げるよ
君のことを守れるのなら
みんなのヒーローに
なんてなれなくていい
だから
君だけのヒーローとして
影のヒーローとして
大切な君を救い守るよ
詩人:メイ | [投票][編集] |
どうだったっけ
涙を流すのって
どうするんだったっけ
涙を流すのって
体内に沈澱する
悲しさや切なさや寂しさ
泣くことが出来たら
澱んだものをすべて
洗い流せる気がするから
だから泣きたいのに
涙が出ない
涙って枯れてしまう
ものなのかな
それとも
あなたとの思い出を
ひとつ残らず
忘れないように
泣き方さえも
忘れちゃったのかな
詩人:メイ | [投票][編集] |
どこかでネジを
なくしてしまったの
そのポッカリと開いた
小さな穴から
少しずつ腐食してゆくわ
輝きに満ちていた
ブリキのボディも
幾度と零れた涙のせいで
すっかり赤茶けて
キシキシと悲鳴を
あげているの
所々でふと蘇る
大切なあなたとの
メモリーは思考回路が
劣化してしまったから
ただチカチカするだけで
今ではもうはっきりと
思い出せないよ
楽しくて幸せだった
あの頃のことも
優しい言葉
あったかい温もり
そのすべてでもう一度
錆び付いたあたしに
潤滑油を注いでよ
あたしにあなた以外を
愛するプログラムなんて
されていないの
電源が切れるまで
故障してしまうまで
なんてあたしは
起動してらんないよ
存在理由を失った
ロボットなんて
いらないのだから
それならいっそのこと
あなたの手で
優しく壊してほしい
もう何もいらないよ
これが最後のお願い
もう何も言わないよ
あなたを困らせないから
スクラップのままで
あなたとの夢を見させて
スクラップのままで
あなたを想い続けさせて