ウチのサラちゃん

目と耳の周りと
おしりの辺りの
黒いぶちが
特徴なウチのうさぎ

みんなが呼べば
寄ってくくせに
僕が呼べば振り向くだけで
すぐにそっぽ向いて
どっかに行っちゃう
かわいくないヤツ

僕のお菓子を食べようと
するから叱るけど
それでもめげずに
やってくるしつこいヤツ

疲れ知らずに跳ね回り
小屋に入れようとも
素早く逃げ回る
きかんぼうなヤツ

でも　少し前から

呼んでも振り向きもせず
お菓子を食べてても
やってこない
ずっと部屋の隅で
小さく丸まってた

そんなある日の夜中
小屋の中でアイツは
暴れていた
なんだか苦しそうに

すぐに感づいた
とっさにぎゅっと
抱きしめる
魂が抜けてかないように
強く　強く

３回苦しそうに鳴いた

最初で最後のお前の鳴き声

なんだよお前
そんなにきれいな鳴き声
してるなら
もっと早く聞かせろよな

なんだよお前
目に涙なんかためてさ
でもお前もあくび
しただけだろ？

なんだよお前
僕に一番なつかなかった
くせに結局最後は
僕の腕の中じゃんか
素直じゃないよなお前も

震える声
流れる涙
精一杯の強がり

ゆっくりと心音は途絶え
お前は呼吸をやめる

少しずつ少しずつ

硬くなってゆくお前の身体
少しずつ少しずつ

まだあたたかいのに…


そっかもう疲れたんだね
ゆっくりおやすみ

目を覚ましたら
お前の好きなお菓子
少し分けてあげるよ
野原を好きなだけ
駆け回らせてあげるよ



ウチのサラちゃん

しつこいし素直じゃないし言うこときかないけど
世界で一番大好きなヤツ

見えるものだけが
すべてじゃない
目をつぶれば
いつだって会える

だけど　僕は
わがままだから

やっぱり
ぬくもりに触れられる
お前に会いたい


そして今日も僕は
天を仰いで問いかける

ほらサラちゃん
早く目を覚まして
ここにおいでよ


ねぇ


サラちゃん
サラちゃん
サラちゃん