詩人:メイ | [投票][編集] |
陽気な春の陽射しの中
街路の片隅に
汚れきった残雪を見つけた
ふと思う
なんだかそれって
僕らに似ている
初冬
真っ白な空から
幾千と天使の如く
ふわふわと舞い降りる
汚れなき純白な新雪
少しずつ少しずつ
日々が流れ季節が変わり
少しずつ少しずつ
排気ガスや泥に塗れ
少しずつ少しずつ
陽に照らされ消えてゆく
あんなに綺麗だったのに
僕らも同じじゃ
ないだろうか
僕らも始めは
何も知らずにこの世に
生を受け
将来に希望を抱き
純粋に
泣き
怒り
喜び
笑えた
いつからだろう?
僕が汚れ始めたのは
いつなんだろう?
僕が消えてしまうのは
残雪の表面を
手で払ってみる
だけどそんな汚れた
残雪の中にもまだ
真っ白な部分が
そこにはあった
触れると冷たく
気持ちが良い
僕もそんな
残雪のように
生きられるかな
こんな世界だけど
またおいで
そうつぶやいて
また歩き始めた
僕はゆっくり天を仰いだ