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あー、うん。
そうだね。
僕だってホントは言いたか無いんだ。
だけど「言いたくないことでも」
「言うべきこと」なら言うさ。
それこそが人間関係ってもんだからね。
君は言ったね。
「お互いを高め合う関係、それが理想だ」と。
それも答えとして間違っちゃあいないさ。
ただ、足りないだけでさ。
全体が足りないか、部分が欠けているかは知らないけど、ね。
「知り合いは、あくまで知り合いだよ」
君は、もっと昔の人に敬意を払うべきなのかもしれないね。
僕らは、互いに気付き合い、知ることは出来るのだけど。
それだけだよ。
「高める」のは、自分だけでやらなくちゃいけない。
うん。
前置きが長くなったけど。
建前や前置きは言葉の個性だから仕方ない。
アメ玉を包むオブラートみたいなものさ。
言いたくないことも、
言うべきことも、とてもシンプルなんだ。
それこそ、アメ玉のようにね。
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疑問を投げかける
夕暮れの赤い光に照らされて
長く 薄い 僕の影へ
他人を満載した電車の影が
薄い緑色のフェンス越しに伸びてきて
瞬間、僕の影と重なる
ガタン、ガタン、ガタン・・・
電車が僕の横を通り過ぎる
その刹那
影に投げかけた疑問は
確かに
「その場所」へと届いていた
僕は立ち止まり
「嬉しい」と「寂しい」で作られた涙を
決して流すまいと
赤い空を仰いだ
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毎日、変りたいと思う
変化しないのは日常ではなくて
己自身だということは分かっているから
どう変りたいのか
そんな詰まらない理由で立ち止まっていた事もあった
ゴールを決めることは大事だけど
だからといって
それは
スタートをしない言い訳には、ならない
時間というヤツはいつだって前にしか進まないから
進んだり、戻ったりしながら
変り続けるというのは
とてもとても不安ことだけれども
不安の中に身を置く者に
退屈は訪れない
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何もでもある部屋で何もしない
理由はどこにあるのだろうか
探す前から諦めたのは何日前だったか
日常は炯々と灯り
季節は流転する
そうして取り残されたのは誰であったか
思い出したのは何色の空だったのか
ここにある物は一体なんの為に作られたのか
答えはいくつだって転がっている
ただ
理由だけが
見つからない
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僕の言葉は
射程距離がとても短い
「こんな風に思われたい」と
余分な言葉を付け足して
「そんな風に思われたくない」と
必要な言葉が足りなくて
僕の言葉には「僕」が居ない
だから、僕の声は届いても
僕の言葉は届かない
それでも
僕の瞳が見える距離まで近づいてさえくれれば
声を出さなくとも
僕の言葉は届くと信じている
僕はどこかの時点でこんな僕を好きになった
嘘つきで
臆病で
凡人な僕を好きになった
だから、今しばらく、僕は変わらない
僕の言葉の射程距離は
とても短い
だから
近づいて欲しい
そうすればきっと
届くから
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ほんの何百年か前に
誰かと誰かが付き合い始めて
仕合せになった
そして
何百年後の僕たちも
誰かと誰かと同じように付き合った
本当はあったのかもしれない
「好き」という言葉が形作る別の関係を
僕たちは想像することが出来なくて
僕たちは誰かと誰かのように付き合い始めた
けれど
誰かと誰かのように仕合せにはなれなかった
恋愛の鋳型に流し込んだ僕たちの愛は
何かの形を成す前に
冷えて固まった
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悲しくなったら泣けばいい
涙が出なければ書けばいい
「悲しい」って言葉を色んな言葉で書けばいい
いつか
その言葉を読んでくれた人間が代わりに泣いてくれるから
涙が出ないのなら
「悲しい」を書けばいい
自分の中から無くなるまで
「悲しい」を書けばいい