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右色の部屋


[29] 回答者(語り):グリューベルン
詩人:右色 [投票][得票][編集]

随分長い間

私は人にモノを訊ねてきた

それも凡そ益体の無いことばかり

ある時は愛の存在を問いただし

またある時は嘘の真実性を質問してみた

考えれば

私の人生の大半は誰かへの質問を作る時間でもあった

そうさせたのは
自分だけでは答えが出なかったというのもあるが

答え以上に
自分の知りたいことの中心へ近づける
質問が欲しかったのだ



故に



私は常に質問を渇望している

他力本願と言われれば
それだけのことなのだろうが

私は唐突な質問が欲しい
狼狽たえて
新しくなくとも
混乱が欲しい

自問自答ではこの先を得られはしない
そも思考の媒体にしている言葉自体
他人の為に在るものだ

それは逆説
誰かの為に紡ぐ言葉こそ
真実
自身にとって意味のある言葉となり得る

だからこそ
願う
私に訊ねてくれ
私は私の全霊を以って応えよう






私は全ての問いに答える回答者
質問の代価は質問を以って
完結する

2007/06/18 (Mon)

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