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右色の部屋


[39] 狼を追う人:灰色ファルセット
詩人:右色 [投票][得票][編集]

狼は東へ去りました

追いかけるかどうか迷っていると

豚の群れが近づいてきました

きっとその後には狼がいるのでしょう




目的という名の狼は西へ去りました

ためらっている内に日は暮れて

夜には墓の下




狼という孤独は南へ去りました

追いかけることにしましたが

とりあえず明日から

いつまで経っても「明日」は来ませんでした



夢そのものである狼は北へ去りました

たくさんのものを犠牲にして

追い続け

遂には雪山の頂で狼を追い抜き

狼となりました

もはや進むべき方角は分かりません

しかし

飢えと誇りを忘れぬ限り

狼なんです

喩え、追うべきものが無くとも

走りつづけます

ずっと

ずっとずっと


2007/07/09 (Mon)

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